ヤフーは2月26日、旅行サイト「ヤフー!トラベル」で宿泊予約サイト事業に参入すると発表した。通常の宿泊予約サイトは、予約成立の際に宿泊施設から5〜10%程度の手数料(システム利用料)を受け取るが、ヤフーはこれを無料化する。小澤隆生・執行役員ショッピングカンパニー長と齋藤克也・ショッピングカンパニー予約事業本部長は記者会見で「国内宿泊に予約革命を起こす」と強調した。齋藤本部長は楽天トラベルの元常務執行役員。
今までのヤフー!トラベルでは宿泊施設との契約はなく、JTB、一休などの旅行会社、宿泊サイトを介して宿泊施設から宿泊プランの提供を受けていた。今後は宿泊施設との直接契約を始める。
直接契約の中で、システム利用料を0%(無料)に設定。ただし、宿泊施設負担で利用者に対するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「Tポイント」の付与を義務づけた。負担率は最低5.3%と高率に設定。5%は利用者に還元され、0.3%をポイント発行諸手数料としてヤフーが受け取る。
ヤフーは同26日、宿泊施設から直接契約の申込みを受け付けるウェブページ(http://bizpromo.travel.yahoo.co.jp/dhotel)を開設。今夏をめどにサイトを全面刷新し、利用者と予約事業者の仲介サイトから、一般的な国内宿泊予約サイトに移行する。新サイトでは、契約宿泊施設が、ヤフー!トラベル上の自施設ページから自社サイトにリンクを張ることもできるようにする。
ヤフーは昨年10月に「ヤフー!ショッピング」の出店手数料を無料化。10月7日時点で約2万件だった出店者が12月31日時点で約9万件になったという。実は、ヤフー!トラベルのシステム利用料ゼロ施策も、ショッピング出店無料化の延長線上にある。小澤執行役員は、ショッピングもトラベルも手数料収入ではなく、ヤフーのサイトに訪問者が増えることによってもたらされる広告収入で運営すると述べた。
利用者が予約の際に受け取るポイントの料率は、楽天トラベルが楽天スーパーポイント1%、じゃらんnetがリクルートポイント2%。ヤフー!トラベルではこれがTポイント5%となり、利用者にとっては魅力的だ。
宿泊施設にとってもポイント原資の負担はあるものの、システム利用料とポイントを合わせた負担は他大手サイトの半分程度で済む。国内宿泊予約サイトの勢力図に今後変化が起きる可能性が出てきた。