ラムサール条約の登録地に宮城県南三陸町の「志津川湾」(5793ヘクタール)と東京都江戸川区の「葛西海浜公園」(367ヘクタール)を新たに登録することが決まった。環境省によると、アラブ首長国連邦のドバイで開催されるラムサール条約第13回締約国会議(COP13、10月21~29日)に合わせ、18日付で登録簿に掲載された。
ラムサール条約は国際的に重要な湿地、およびそこに生息・生育する動植物の保全と賢明な利用(ワイズユース)を促進することを目的にしている。今回の2カ所の登録で日本の登録地は52カ所(15万4696ヘクタール)となり、アジア諸国の中で最多となる。
志津川湾は三陸海岸の南部に位置する海洋沿岸域の湿地。湾内にはアマモ場、コンブ場、アラメ場、ガラモ場という4タイプの藻場が発達しており、アマモ場には絶滅危惧種を含むアマモ、スゲアマモなど4種が生育する。
海草と海藻類以外にも500種以上の海洋生物のえさ場や生息地となり、海洋生物の多様性を支えている。
南三陸ホテル観洋の女将、阿部憲子さんは「外国人客を増やそうという動きの中で、志津川湾の豊かな自然環境が国際的に認められたことはとてもうれしく、(集客の)追い風になる」と歓迎。「(近隣の)登米市・栗原市にあるラムサール条約登録地『伊豆沼・内沼』と連携し、周遊観光としてアピールできれば」と期待する。
一方、葛西海浜公園は東京湾に流入する河川の河口に位置する汽水域。カモ類をはじめとする渡り鳥の飛来地となっており、特にスズガモやカンムリカイツブリに関してはアジア地域個体群の1%以上が飛来し、国際的にも重要な生息地になっている。