ホテル・旅館に特化し、設備投資や改装工事、社員研修、販売促進などのコンサルティングを行うリョケン(静岡県熱海市、佐野洋一社長)は12、13の両日、新潟県湯沢町の湯沢町公民館で「旅館大学セミナー」を開講した。全国から旅館経営者、幹部ら約120人が参加した。
セミナーは、今回が157回目。セミナーと併せて「松泉閣花月」と「HATAGO井仙」の宿泊施設見学会も催した。
12日は、「越後湯沢の『観光活性化戦略』を探る」をテーマに、越後湯沢温泉観光協会の富井松一会長(松泉閣花月社長)、雪国観光圏の井口智裕代表理事(HATAGO井仙社長)らが講師を務めた。
湯沢町を訪れた観光客は1992年度に1千万人を超えていたが、スキー人口の減少が響き昨年度は433万人にとどまった。「越後湯沢の観光集客復活に向けて」をテーマに登壇した富井会長は「近年、SWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析とPDCAにより組織統合マップの作成と実行を図った。また、インバウンド用着地型商品の開発と2次交通の整備を進めている」などと述べた。
新潟県の5市町と群馬県みなかみ町、長野県栄村の3県7市町村で構成されている雪国観光圏の井口代表理事は「地域連携でブランド強化を実現」がテーマ。「かつては東京都湯沢町などと呼ばれ東京からの観光客で潤っていたが、(北陸新幹線の開業で)エリアとしての魅力を出していかなければ金沢には勝てない」などと指摘。旅館・ホテルの品質認証制度である「サクラクオリティー」の導入や、地域全体で食のブランド化を図る「雪国A級グルメ」などの概要を明らかにした。
13日は、ホテル双葉専務の小林秀雄、松泉閣花月若女将の富井智子、HATAGO井仙マネージャーの小野塚敏之の各氏によるパネルディスカッションが開催された。テーマは、「地域を土台に旅館を売る」。
パネルディスカッションでは、「にいがた朝ごはんプロジェクト」や着地型の日帰り観光バスの概要などを解説。「地域の顧客づくりのための旅館の役割と今後の課題」なども議論した。