ワイン文化日本遺産協議会(茨城県牛久市・山梨県甲州市、会長=根本洋治牛久市長)と近畿日本ツーリスト(KNT)、クラブツーリズム(CT)はこのほど、日本遺産(No.86「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」)および構成文化財などを生かした地域活性化を目的とした包括連携協定を締結した。牛久市と甲州市が文化庁から日本遺産として認定された日本遺産の維持発展および、両市の地域活性化が目的。協力事業実施予定期間は8月27日から25年3月まで。
連携では、(1)日本遺産を核としたまちづくりや地域振興(2)日本遺産をはじめとする地域の文化財を中核とした観光拠点の磨き上げ(3)地域の魅力ある文化財に係わる来訪者目線に立った国内外への情報発信―などに取り組む。今後は、日本遺産サポーター制度(仮称)の導入や日本遺産ストーリーを体感できる旅行商品やイベントの企画、教育旅行向け日本遺産プログラムの企画開発、新たな地域特産品開発と販売促進などを行う。
「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」は、20年6月に日本遺産に認定。国産ブドウを原料とし、日本国内で醸造される「日本ワイン」の歴史は140年と古い。
甲州市は日本初の民間ワイン醸造場「大日本山梨葡萄酒会社」が1877年(明治10年)に設立された地、牛久市は日本初のバー「神谷バー」の創業者である神谷傳兵衛が1903年(明治36年)にフランス・ボルドー地区の最新様式を採り入れた本格的なワイン醸造場「牛久醸造場」(現・牛久シャトー)を完成した地として知られている。
現在、両市は地元のブドウ農家との共存繁栄を図りながら、広大なブドウ畑と新旧のワイナリーを誕生させるなど、歴史・文化の継承、発信をしている。
今回の連携について、山梨県出身の参院議員で日本遺産推進議員連盟の赤池誠章事務局長は「日本遺産の審査では継続性を重要視している。持続可能なものにするには、官民の連携が不可欠。両者のネットワークを生かしながら、世界に通用する取り組みへと昇華してほしい」と期待を話す。
KNTの髙浦雅彦社長は「日本遺産認定後、ツアーガイドの育成やウェブサイトの構築などに取り組んできた」と言い、今後は地元の水戸支店、甲府支店を牛久、甲州の発信基地として、日本遺産のストーリーや構成文化財を活用した新たな観光周遊コース、コンテンツ開発などに取り組む。
CTの酒井博社長は「牛久市では、旅行情報誌『旅の友』を市内約20%の世帯に配布している。われわれと自治体による積み重ねを具現化した成果である」と話し、今後は日本遺産ストーリーを体感できる商品、イベントの企画や、ワイン、ビールなど地域特産品の販売促進を図る。
日本遺産を生かして地域活性化を誓う関係者