日本政策金融公庫はこのほど、昨年10〜12月期の全国中小企業動向調査結果を公表した。小企業(原則従業者20人未満)と中小企業(原則従業員20人以上)の業況判断DIは、ともに前回調査から上昇したものの、来期見通しは小企業で低下、中小企業で上昇と差が出ている。小企業の景況判断は「持ち直しの動きが続いているが、先行きは懸念される」として、前回の判断を踏襲。中小企業は「持ち直してきている」として、前回の「持ち直してきているが、先行きについてはやや慎重な見方もある」から判断を上方修正した。
小企業の業況判断DI(よいとする企業割合から悪いとする企業割合を引いた値)はマイナス40.2で、前回調査(昨年7〜9月期)から2.5ポイント、マイナス幅が縮小した。縮小は2期連続。来期(今年1〜3月期)は今期から12.8ポイントマイナス幅が拡大してマイナス53.0になる見通し。
8業種別では、飲食店・宿泊業、小売業、情報通信業の3業種でマイナス幅が拡大。サービス業、運輸業、製造業など5業種でマイナス幅が縮小した。このうち飲食店・宿泊業はマイナス52.1で、前期から2.0ポイント、マイナス幅が拡大した。来期はマイナス61.4で、マイナス幅がさらに拡大する見通し。
サービス業はマイナス45.6で、前期から2.9ポイント、マイナス幅が縮小した。来期はマイナス56.4で、マイナス幅が拡大する見通し。
運輸業はマイナス19.4で、前期から17.0ポイント、マイナス幅が縮小した。ただ、来期はマイナス53.6と、マイナス幅が大幅に拡大する見通し。
10地域別では、6地域でマイナス幅が縮小した。東北地方はマイナス21.8で、前期のマイナス20.3から若干マイナス幅が拡大したものの、3期連続で10地域中マイナス幅が最も小さくなっている。来期は全地域でマイナス幅が拡大する見通し。
中小企業の業況判断DI(前年同期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス11.0で、前期から3.7ポイント、マイナス幅が縮小した。縮小は2期連続。来期もマイナス幅がやや縮小し、マイナス9.6になる見通し。
業種別では、製造業で前期からマイナス幅が拡大。非製造業で縮小した。非製造業は飲食宿泊業、サービス業など、ほとんどの業種で縮小した。飲食宿泊業は今年4〜6月期のDIが10台後半のプラスに上昇する見通しだ。