中小企業庁はこのほど、四半期ごとに実施している中小企業景況調査の今年1〜3月期分の結果を公表した。それによると、同期の業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス50.0で、前期のマイナス42.0から8.0ポイント悪化した。悪化は12期連続。産業別でも、製造業、非製造業ともに前期比で悪化。全産業、製造業、非製造業とも、調査で季節調整を開始した94年以降で最悪となった前回の値を更新した。飲食・宿泊業はマイナス51.5で、前期のマイナス41.2から10.3ポイント悪化した。
中小企業庁は「中小企業の業況は、急速に悪化している」とコメントしている。
業種別にみると、製造業の業況判断DIはマイナス55.0で、前期のマイナス42.8から12.2ポイント悪化。これで、9期連続の悪化となった。製造業14業種のうち、食料品と印刷を除く12業種で前期比悪化した。特に輸送用機械器具(前期比29.9ポイント悪化のマイナス80.9)、電気・情報通信機械・電子部品(同24.5ポイント悪化のマイナス78.2)、金属製品(同22.4ポイント悪化のマイナス68.4)の悪化幅が大きい。
非製造業の業況判断DIはマイナス48.4で、前期のマイナス41.5から6.9ポイント悪化した。これで、10期連続の悪化となった。4業種のうち、すべての業種で悪化した。悪化幅が大きいのはサービス業で、前期のマイナス37.7からマイナス46.7へ、9.0ポイント悪化した。
サービス業4業種の中では、対事業所サービス業の悪化幅が大きく、前期のマイナス34.8からマイナス48.0へ、13.2ポイント悪化した。次に悪化幅が大きいのは飲食・宿泊業の10.3ポイント悪化。
業況判断DIを地域別にみると、8地域中、北海道を除く7地域で悪化幅が拡大した。特に大きく悪化したのは東北(前期比9.8ポイント悪化のマイナス52.5)、近畿(前期比9.6ポイント悪化のマイナス51.6)など。北海道は前期比1・4ポイント好転のマイナス39.1となった。
調査は今年3月、全国の中小企業1万8993社に聞き取り方式で行った。回答企業は1万8181社で、回答率95.7%。
「需要の停滞」が全産業で回答トップ
同調査では「今期直面している経営上の問題点」も聞いた。それによると、前年同期(08年1〜3月期)の回答と比較して、全業種で「需要の停滞」を挙げる経営者が増えた。
製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業について、すべてが「需要の停滞」が回答のトップになった。前年同期は建設業、卸売業、サービス業の3業種だった。
「アメリカ発の金融危機は地方の商工業にも波及し、購買力の低下、仕入単価の上昇等悪条件が重なり苦慮している。金融については緊急保証により非常に効果があり助かったが、業況は悪く、今後も支援の手を差し伸べてほしい」(小売業、熊本)などの声が上がった。