中小企業21年見通し、期待は「コロナの収束」


 日本政策金融公庫が2020年11月に行った中小企業景況調査によると、21年の業況見通しDIは9.4と、「改善」の回答割合が「悪化」の回答割合を上回った。期待する要素に「新型コロナウイルス感染症の影響の収束」、不安要素に「新型コロナウイルス感染症の影響」を多くが挙げている。一方、20年の業況判断DIはマイナス60.2で、前年(マイナス18.1)比42.1ポイントの大幅減となった。

 DIは業況が前年比で改善とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値。

 20年は改善に7.2%、横ばいに25.4%、悪化に67.4%が回答。改善、横ばいは前年(15.9%、50.1%)から大きく低下。悪化は前年の34.0%から大きく上昇した。

 20年の業況を悪化と判断した要因を三つまでの複数回答で挙げてもらったところ、「新型コロナウイルス感染症の影響」が90.5%と最も多かった。以下は「国内需要の動向」(78.2%)、「海外経済の動向」(33.5%)、「消費税率の引き上げ」(9.0%)など。

 一方、改善と判断した要因の上位は、「国内需要の動向」(81.4%)、「新型コロナウイルス感染症の影響」(34.9%)、「製・商品の販売価格の動向」(23.3%)など。

 21年の見通しは、改善に32.4%、横ばいに44.6%、悪化に23.0%が回答した。

 21年に期待する要素は、「新型コロナウイルス感染症の影響の収束」が69.6%と、2位以下の「海外景気の回復による外需の増加」(7.8%)、「政府・地方公共団体等による各種政策・予算の執行」(7.1%)、「2021年予定の東京五輪に伴う需要の発生」(4.0%)などを大きく引き離した。

 一方、不安要素(三つまでの複数回答)は、「新型コロナウイルス感染症の影響」が79.9%と最も多い。以下は「国内の消費低迷、販売不振」(77.4%)、「海外経済の減速による輸出減少」(24.0%)、「人材の不足、育成難」(23.6%)など。

 調査は三大都市圏の同公庫取引先900社に実施。このうち616社から有効回答を得た。

 
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