九州電力グループの九電工が100%出資する九電工コミュニケーションズ(福岡市博多区)は、九州・山口の温泉旅館に特化した宿泊予約サイト「温泉ぱらだいす九州」(http://onpara.jp/)の事業を、旅行会社のホワイト・ベアーファミリー(大阪市北区)に10月1日付で事業譲渡する。譲渡金額は明らかにしていない。
同事業の従業員はホワイト・ベアーファミリーに移籍。同社福岡営業所内で宿泊予約サイト事業を継続する。
温泉ぱらだいす九州は、地域に根ざして地域貢献する宿泊予約サイトを標ぼうし、06年7月に開設。06年度の経済産業省認定「IT経営百選」の最優秀賞を旅行業界で初めて受賞している。
開設5年目での黒字化を目指していたが、建設・設備工事業を営む親会社である九電工の業績が伸び悩む中、建設業との関連が薄く相乗効果が見込めない宿泊予約サイト事業は、ITの専門知識と旅行分野での営業力が高い企業での運営が適切と判断し、事業譲渡を決めた。
ホワイト・ベアーファミリーは大阪に本社を置く1977年創業の旅行会社。東京、札幌、名古屋、広島、福岡、那覇にも拠点を持つ。従業員数は120人で、平均年齢は29.5歳と若い。20種類以上の旅行販売サイトを展開。08年の売上高は90億円で、ツアー販売の70%はインターネット経由という。宿泊予約サイトは持っていなかった。
やはり九電工100%子会社の九電工ネットプロデュースが福岡市内に所有する温浴施設「波葉の湯」の運営をホワイト・ベアーファミリーに委託していたことが接点となり、今回の事業譲渡決定に至った。