観光庁はこのほど、住宅宿泊事業法(民泊新法)に関する自治体の事務手続きの実態について調査し、結果を公表した。昨年11月、民泊事業の届け出に関して法令や条例に基づかない書類の提出や事前相談を求めている事例があるなどとして、自治体に添付書類の簡素化や削減、事務の改善を要請する通知を出していた。今回調査の結果、多くの自治体で改善が見られ、届け出から受理までの期間が短縮されたとしている。
民泊事業の事務を担う102自治体(47都道府県、32保健所設置市、23特別区)を対象に2月に調査を実施した。
届け出の際に添付する書類に関して国は、条例などの根拠がない書類を追加で求める行為は不適切とし、自治体内部で確認できる住民票や周辺地図などは、削減や簡素化を要請している。
住民票に関しては、昨年11月の観光庁通知を踏まえ、住基ネットの活用で添付を不要にした自治体が14自治体。一方で引き続き10自治体が住民票の添付を求めている。周辺地図は22自治体が提出を求めており、その理由は「条例に基づく近隣住民の事前説明に必要」が多かった。
届け出前の自治体への相談について国は、「条例の根拠もなく、事前相談を求め、この手続きを経ていないことを理由に届け出を受理しない行為は行政手続法に違反する恐れがある」と指摘。事前相談を条例に定めている自治体はないが、28自治体が要綱やガイドライン、手引きで、24自治体がホームページなどで事前相談を求めている。
観光庁通知後の事前相談に関する対応では、22自治体がホームページやガイドラインで事前相談が「推奨事項」であることを明確化するなどの改善を実施した。6自治体が改善を検討中という。
観光庁による通知や調査は、民泊の届け出手続きが煩雑との指摘を受けて実施されたが、届け出の受け付けから受理までの標準的な期間は、これらの改善を踏まえて全体としては短縮されている。1~2週間という自治体が66自治体で平均的だが、1週間以内も24自治体に上る。2週間以上という自治体は、昨年7月の調査時には21自治体だったが、今回調査では11自治体に減少した。