二大温泉地で「温泉感謝祭」 草津温泉 下呂温泉


草津温泉で2日夜に行われた女神昇天

 新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行し、人の動きが活発化している中、草津(群馬県草津町)と下呂(岐阜県下呂市)の二大温泉地で8月上旬、夏を象徴するイベントが開かれた。待ちに待った通常開催に多くの観光客が押し寄せ、にぎわいを見せた。地元の観光関係者は「ようやく日常に戻った」と笑顔を浮かべた。

草津温泉 女神が神事、知事出席の懇親会

 群馬県草津町の夏の風物詩「草津温泉感謝祭」が1~2日、温泉のシンボル「湯畑」周辺で開催された。2日夕には湯畑側のホテル一井で、山本一太知事、関係市町村の首長、JR東日本、旅行業者らを招いた懇親会が開かれ、親交を深めた。

 過去3年間はコロナ禍のため、中止や規模を縮小して実施していたが、今年は従来通りの開催となった。

 感謝祭は土用の丑(うし)の日丑の刻(午前2時)に入浴すると1年中無病息災でいられるという言い伝えにより、温泉の恵みに感謝する意味で始まった「丑湯祭」が起源。今年で77回目となる。

 1日夕、第77代温泉女神の宮本紘さん(25)が降臨、巫女(みこ)とともに「源泉お汲(く)み合わせの儀」や「分湯の儀」などを行った。1日はあいにくの雨だったが、訪れた人たちは写真を撮ったりして、幻想的な雰囲気を楽しんでいた。

 翌日、町内の主要浴場に献湯。午後9時、真っ暗になった湯畑周辺に全ての儀式を終えた温泉女神と巫女が登場。巡行後、湯畑側の光泉寺の石段を登って昇天。2日間の神事を終えた。
懇親会には招待者を含め約100人が出席。草津温泉観光協会の山本剛史会長(㐂びの宿高松)や黒岩信忠町長は4年ぶりの通常開催を喜び、改めて温泉の恵みに感謝した。

 7月23日投票の知事選で再選を果たしたばかりの山本氏も駆けつけた。

 山本氏は「草津温泉は観光経済新聞社が主催する『にっぽんの温泉100選』で20年連続のキングであり、日本を代表する世界的な温泉だ」と強調した。

 山本氏は日本の温泉文化をユネスコの無形文化遺産に登録することを目指す「知事の会」の事務局長を務め、けん引する立場。「懇親会のドレスコードが浴衣なのはとても理にかなっている。温泉は独自の文化であり、湯煙の情景、浴衣、そして(旅館)女将なども世界遺産の一部だ。登録実現に向け取り組んでいく」と述べた。

 JR東日本の樋口達人・高崎支社長もあいさつし、乾杯の音頭は宮崎謹一・町議会議長がとった。

 

草津温泉で2日夜に行われた女神昇天

 

下呂温泉 温泉に感謝、「直会」に市長出席

 岐阜県下呂市の下呂温泉で3日、天与の資源である温泉に感謝し、温泉地のますますの発展を願う「温泉感謝祭」が行われた。コロナ禍のため過去3年は中止や規模を縮小、4年ぶりに従来の規模での実施となった。

 恒例の「参進行列」では、JR下呂駅から温泉街の温泉寺まで、旅館関係者らが温泉発見の伝説にちなんだシラサギや、「日本3名泉」の一つとして下呂を紹介した江戸時代の儒学者・林羅山、室町時代の誌僧・万里集九らに扮し、温泉街を練り歩いた。

 同祭実行委員会の齋藤正巳副委員長(睦館)は、「諸先輩のおかげでこの感謝祭は戦後すぐ、昭和22年に第1回を開催し、今回で75周年を迎えることができた。先人たちの努力の賜物である温泉文化を後世に、皆さんとともに伝えていきたい」と力強くあいさつした。温泉寺では寺の本尊にいで湯を奉納するなどの祭事を行った。「直会」には山内登市長も出席した。

 1~4日に温泉街で行われた「下呂温泉まつり」の一環。期間中、「竜神火祭り」、趣向を凝らしたみこしが練り歩く「湯の華みこしパレード」、花火と音楽のライブショー「花火ミュージカル夏公演」など多彩な催しが行われ、訪れた観光客らを魅了した。

「参進行列」の参加者ら(JR下呂駅前)

 

 
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