京都市は5日、世界最大級の電子商取引市場「eBay」(イーベイ)と組んで、訪日外国人旅行客が旅行中や帰国後に着物、茶器など地域の伝統工芸品をインターネット上から購入できる仕組みを構築、公開した。
イーベイのウェブサイトとスマートフォンアプリ内に京都特設プロモーションページ(http://www.ebay.com/rpp/born-in-kyoto)を設置。「訪日外国人人気商品」「伝統とデザインの融合」「匠コレクション」など独自の分類で、伝統工芸品の背景や商品の詳細を英語で紹介している。
参加店舗は、イーベイのロゴが印字されたステッカーを掲示。来店客にイーベイサイトで商品説明を読んだり、購入したりできることを周知する。
来店した訪日客は、気に入った商品があれば、現場で直接購入し持ち帰ったり、現場や帰国後にイーベイ経由で発注して自宅に届けてもらったりすることができる。
このプロジェクトには、イーベイのほか、世界最大のデジタル決済プラットフォーム「PayPal」(ペイパル)も協力。年間購入者数1億6200万人、展開国数200カ国以上、年間販売高10兆円のイーベイが購買支援を、年間購入者数1億8千万人以上、展開国数200カ国以上、世界26通貨対応のペイパルが集客支援を行う。
京都市と京都商工会議所、中小企業基盤整備機構が協力し、伝統工芸品の製造者、小売業者を支援する。今回の京都の取り組みをモデルケースとして、インバウンド客を越境EC客に転換し、伝統工芸品を世界に販売する仕組みを今後、全国に広げる。
京都市の門川大作市長は記者会見で「伝統産業が日本の文化を支える。京都の伝統産業製品を皮切りに、全国津々浦々の伝統産業に光をあてるこの取り組みは誠に心強く、大成功を確信している」と語った。
伝統的工芸品産業振興協会の推計額によると、日本の伝統的工芸品産業の2013年の生産額は1051億円で、最盛期だった1983年の5406億円の5分の1以下に縮小している。一方、イーベイにおける、伝統工芸品など日本の伝統文化に関わる商品の取引額は年間400億円に上るものの、実際は日本製ではない商品が多数流通しているという。