京都府舞鶴市はこのほど、東京都内で記者会見し、旧ソ連によるシベリア抑留と海外からの引き揚げに関するイベントを、12月と来年3月に都内で開催すると発表した。また、市の観光スポットとして海軍ゆかりの港巡り遊覧船と赤レンガパークを推した。
鴨田秋津市長は「来年は戦後80年、引き揚げ開始80年に加え、ユネスコの世界記憶遺産登録10周年という節目の年を迎える。引き揚げの記憶を有し、継承を託されたまちの使命として、二つのイベントを都内で開催する」と述べた。
一つは丸の内のKITTEでの特別展示「京都舞鶴―世界記憶遺産×日本遺産巡回展」で、12月23~26日に開催する。
もう一つは、3月23日に新宿で開催する「次世代による継承を考える『ミニ平和未来フォーラム』」(仮称)。帰還者たちの記憶ミュージアムの館長や舞鶴引揚記念館の学生語り部らが出演し、若い世代が自らの言葉や最新の技術で伝える方法やその意義について考える。
市は1901年の舞鶴鎮守府(旧海軍の統括機関)の開庁以来、日本海側で唯一の軍港都市として発展してきた。現在、海上自衛隊舞鶴地方総監部が置かれ、護衛艦などを間近で見学できる「海軍ゆかりの港めぐり遊覧船」が人気だ。平日1日3便、土日祝日は6便運航されている。料金は大人1500円、子供800円。
また、赤れんがパークは明治・大正時代に建てられた8棟の赤れんが倉庫があり、特に赤れんが博物館となっている1号棟は魚形水雷庫として、明治36年に建築された、現存する最古級の鉄骨れんが造り建造物となっている。
市が運営する舞鶴引揚記念館にはシベリア抑留や引き揚げに関する貴重な資料が寄贈され、千点以上を常設展示している。市長は「全国から教育旅行も誘致したい」と意欲を示した。