6ヵ月連続業種別1位に
新型コロナの5類移行で観光客の動きが活発になる中、旅館・ホテルの人手不足がさらに深刻化している。帝国データバンクが4月に行った調査では、正社員を不足とする企業割合は旅館・ホテルで75.5%と51の業種別で最も高く、6カ月連続のトップとなった。非正社員を不足とする企業割合も78.0%と、1位の飲食店(85.2%)とともに突出して高くなっている。
正社員を不足とする企業割合は、全業種計が51.4%と、前年同月比5.5ポイント増加。4月としては過去最高となった。例年4月は新卒新入社員が加わり、月次ではやや低下する傾向があるというが、今年は5割を上回る高水準となった。
51の業種別では、旅館・ホテルが6カ月連続のワースト1位となった。前年同月比で23.1ポイント増、2021年同月比で52.0ポイント増と、ともに大きく上昇している。
2位以下は情報サービス(74.2%)、メンテナンス・警備・検査(67.6%)、建設(65.3%)、人材派遣・紹介(64.3%)、自動車・同部品小売(64.1%)、運輸・倉庫(63.1%)、飲食店(61.3%)、リース・賃貸(60.7%)、医療・福祉・保健衛生(58.3%)の順。9位のリース・賃貸はレンタカー業界を含み、レジャーやビジネス需要の高まりが背景にあると見られる。
一方、非正社員を不足とする企業割合は、全業種計が前年同月比3.4ポイント増の30.7%。4月としては4年ぶりの3割超となった。
業種別では、パート、アルバイトを含む非正社員の就業者が全体の7割以上を占めるという飲食店が85.2%(前年同月比7.9ポイント増)と、唯一の8割台。2位が旅館・ホテルで78.0%(同21.9ポイント増)。この二つが3位以下を大きく引き離している。
3位以下は飲食料品小売(58.7%)、人材派遣・紹介(58.3%)、各種商品小売(56.9%)、繊維・繊維製品・服飾品小売(52.0%)と、個人向け業種が多く並んでいる。
旅館・ホテルから「新型コロナ禍で抑制されていた人流の活性化や旅行支援、イベントやスポーツ大会の正常化などで高稼働の状況が続くが、人手不足で十分な対応ができない」などの声が上がっている。
帝国データバンクは「今後は訪日外国人客のさらなる増加が期待される中で、外国人労働者などの活躍による人材確保やDXなどによる合理化投資が急がれる」としている。