日本商工会議所と東京商工会議所は6日、全国の中小企業を対象に実施した人手不足などへの対応に関する調査の2019年度の結果をまとめた。人手不足と回答した企業は約7割に上り、業種別では宿泊・飲食業が約8割で最多だった。半数以上の企業が、今後3年程度の見通しとして人手不足感が増すと回答。企業の約半数は外国人材の受け入れにニーズがあり、新たな在留資格「特定技能」への関心も高い。
47都道府県に所在する中小企業を対象に商工会議所職員が訪問調査を行った。調査期間は19年3月25日~4月25日。回答企業数は2775社(宿泊・飲食業は176社)。
人手不足と回答した企業の割合は、15年度には50.3%だったが、16年度に55.6%、17年度に60.6%、18年度に65.0%と年々上昇し、19年度は66.4%となった。
業種別では、宿泊・飲食業が18年度比2.7ポイント増の81.8%。宿泊・飲食業などは「人手不足企業の割合が8割程度で高止まりしており、深刻な状況」と指摘した。他の業種では、介護・看護が79.2%、運輸業が78.2%、建設業が75.4%などと高かった。
全回答企業のうち人手不足企業の割合を地方ブロック別に高い順に見ると、(1)北海道74.4%(2)九州・沖縄70.9%(3)四国68.1%(4)北陸信越66.8%(5)東海66.7%(6)中国66.4%(7)関東65.7%(8)関西64.7%(9)東北57.2%。
人手不足企業の回答結果では、求めている人材の上位が「一定の経験を有した若手社員」「即戦力となる中堅層・専門家」。人手を確保できない理由は、人口減少や大都市圏への流出などを含めて「立地地域に求めている人材がいない」が約6割に上った。自社の賃金や働き方などの待遇、産業・職種としての魅力を課題に挙げる企業も4割前後に上った。
全回答企業のうち外国人材の受け入れニーズでは、「既に雇用している」「今後雇用する予定」「雇用するか検討中」の合計が50.8%で、18年度比8.1ポイント上昇した。人手不足企業に限ると、57.8%に上り、深刻な人手不足に対して外国人材への期待と関心の高さがうかがえる。
外国人材の受け入れニーズがあると回答した企業のうち、新たな在留資格「特定技能」での受け入れへの関心では、「現在、受け入れを検討中」「今後、受け入れを検討する可能性あり」の合計が83.6%に達した。
また、19年4月から順次施行されている働き方改革関連法の準備状況では、「対応済み.対応の目途が付いている」と回答した企業の割合は、「時間外労働の上限規制」で63.1%、「年次有給休暇の取得義務化」で77.3%、「同一労働同一賃金」で36.0%だった。