
パワハラ防止法(*)が2020年6月から施行され、中小企業でも22年4月から「事業者がパワハラに対して雇用管理上必要な防止措置を講じること」が義務化されている。「パワハラ」が法律で定義されたことで、被害者が声を上げやすい環境が整い、事業主はより一層管理責任が問われやすくなっているといえる。実際、一部署内での上司・部下間のハラスメントであっても、職場で起こった事象は、使用者である事業主にも管理責任が及んでいる事例が増えている。
ハラスメントの事故事例としては、下記のような事象が想定される。
・管理職が「体調不良の原因は人前で罵倒されたからである」と部下からパワハラで訴えられた。
・従業員の私生活に関する個人情報を、本人の了解を得ず他の従業員に暴露した。
・相手を罵倒し、人格を否定するような内容のメールを、当該相手を含む他の従業員に送信した。
宿泊業でも営業現場で実際に発生した下記のパワハラ行為で使用者責任を問われ、損害賠償(慰謝料)として百数十万円の支払いを命じられた高裁の判決がある。
・アルコールに弱い体質の営業担当者に執拗(しつよう)な飲酒の強要
・体調の悪い者に同行営業時の自動車運転を強要
・深夜の時間帯のメールや電話による叱責
これらのような賠償リスクをファイナンシングする手法として注目してほしい保険が「超Tプロテクション保険」だ。日本国内でパワハラと認定される管理責任や、不当解雇などで訴えられた会社や事業者等の賠償リスクを補償の対象としている(雇用関連賠償責任補償特約)。社長個人のほか、役員、管理職までを補償の対象としている。
また、ハラスメント行為によって事業者が賠償責任を負担した場合に、ハラスメント再発防止にかかる費用負担も補償対象としている(ハラスメント再発防止費用補償特約)。
経営者、事業主が安心して経営に専念できる、この超Tプロテクション保険は、JTB旅連事業株式会社が宿泊施設などに案内している「JTB旅ホ連保険」に補完保険として新たに加わった。補償額や保険料など詳しい内容の問い合わせや加入の相談は、JTB旅連事業・保険相談室TEL(0120)371177。メール:hoken@jtb.gr.jp。
(*)労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
労働相談件数は年々増加傾向にある(出処=厚生労働省)=グラフ。