伊勢おもてなしヘルパー推進会議は2月5日、「お伊勢さんに『行きたい』を『行ける』に変えるユニバーサルツーリズム~『伊勢おもてなしヘルパー』拡充展開プロジェクト」の事業報告会を三重県伊勢市の伊勢商工会議所で開いた。伊勢おもてなしヘルパー推進会議委員の鈴木健一伊勢市長や、伊勢おもてなしヘルパー2期生ら約50人が出席。今後は、参拝サポート年間1千組を目指す。
事業を報告する野口事務局長
ヘルパー2期生を新たに35人認定
同事業は、今年度に観光庁が行う「看板商品創出事業」の一環として開催。神宮参拝を手伝う有償ボランティア「伊勢おもてなしヘルパー」を全国に広めるためのキャンペーンやオンラインツアー、またプロジェクトの柱として「伊勢おもてなしヘルパー2期生」(1期生は約50人)の養成を行った。
報告会では、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの野口あゆみ事務局長が事業内容を説明。同プロジェクトでは(1)伊勢おもてなしヘルパー養成講座(2)伊勢おもてなしヘルパーDAY(3)短編動画作成(4)オンラインツアー配信(5)新たなサービス展開のための検証(6)商品造成のプロモーション(7)伊勢おもてなしヘルパー看板商品販売お披露目報告会(8)メディアによる発信―を行ったことを報告した。
養成講座は、説明会を9月に3回、座学・実地研修を10月に3回実施し、研修には35人が参加した。また、11月11~13日には、2期生のモニター研修と参拝サポート体験イベントを兼ねた「伊勢おもてなしヘルパーDAY」を伊勢神宮内宮で開催。事前に募集した障がい者・高齢者のモニターを対象に、1期生の協力のもと、2期生が車いすを使用した参拝サポートを行った。約10人の障がい者・高齢者が参拝サポートを体験した。
伊勢おもてなしヘルパーを紹介する活動では、「おもてなし・ユニバーサルツーリズム研修会」やオンラインツアーを開催。視聴は、有料老人ホームや特別支援学校など150施設で行われ、計2916人が鑑賞した。
新たなサービス展開に向けては、外宮での一人旅や視覚障がい者へのサポートなどを検証した。
商品造成のプロモーションでは、近畿日本ツーリストの宿泊サイトや東京トラベルパートナーズのウェブサイトで「伊勢おもてなしヘルパー」が紹介された。
強力社長
講演は、社をあげて2期生研修に参加したゴーリキ(三重県伊勢市)の強力雄社長が「関わる人、すべてを幸せに」、ユニバーサルツーリズムアドバイザーでオフィス・フチの渕山知弘代表が「伊勢おもてなしヘルパーは点から面、面から世界へ」をテーマに、未来に選ばれる会社、地域になるための心構えや、2025年に開催が予定される大阪・関西万博や2033年の式年遷宮を契機とした受け入れ態勢の充実化や国内外からの誘客の在り方を話した。
渕山代表
当日は、報告会と共に伊勢おもてなしヘルパー2期生35人の認定式を開催した。性別は、男性が13人、女性が22人。年齢は、10代が1人、20代が2人、30代が7人、40代が9人、50代が5人、60代が9人、70代が2人。出身地域は、伊勢市が29人、鳥羽市が2人、志摩市が1人、明和町が2人、玉城町が1人。
新たに「伊勢おもてなしヘルパー」となった2期生の認定式を開催
式年遷宮へ体制構築
伊勢おもてなしヘルパー推進会議委員 伊勢市長 鈴木健一氏
伊勢、志摩地域は、ボランティアや関係者の力もあり、バリアフリー観光において日本の最先端を走っている。新型コロナウイルス感染症の拡大は一時と比べて一定の落ち着きを見せ、三が日では伊勢神宮への参拝者数は前年比13%増となり、2022年度を見ても回復傾向となるなど、ウィズコロナでの観光振興がスタートできると期待している。
次の式年遷宮は10年後にあり、お木曳き行事も3年後に実施される。これらを踏まえ、高齢者の方、障がいを持つ方などを含め、国内外から大勢の人が訪れ、今後は満足してもらえるような体制を作っていく。
新たな力で経済回す
伊勢おもてなしヘルパー推進会議代表 伊勢志摩バリアフリーセンター理事長 中村 元氏
コロナ禍が落ち着きを見せ、さぁこれから始まる。われわれは20年前、移動困難者を伊勢志摩に迎えるため、日本で初めてバリアフリーセンターという仕組みを作った。また、10年前には三重県知事が「日本一のバリアフリー観光県推進宣言」を発した。地域、来訪者の高齢化は進むが、誰もが平等に訪れられる伊勢神宮、地域内観光を推進しなければならない。
万博と同規模の式年遷宮は20年に1度必ず行われる。廃れるとなると地域の責任。伊勢神宮は信仰の場であり、観光や経済のためではないが、その力で地域の観光や経済も回る。皆さんの手、新たな力で変えてほしい。
高齢者が参拝サポート体験
伊勢おもてなしヘルパーDAY 2022年1月11~13日で開催