帝国データバンクはこのほど、全国企業に行った景気動向調査の今年4月分の結果を公表した。それによると、同月の景気動向指数(景気DIポイント0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比1.0ポイント増の20.4で、2カ月連続で改善した。高速道路料金割引など政府の政策的な後押しもあり、小売やサービスなど、内需関連業界の改善が目立った。ただ、DIが急速に悪化した昨年秋以前の水準には遠く及ばず、同社では「国内景気は後退期における踊り場の局面が続いている」としている。
調査は全国の企業2万1296社に行った。有効回答数1万945社で、回答率51.4%。 景気DIを業種別にみると、10業界すべてが改善した。全業界が改善したのは04年4月以来、5年ぶり。
この中でサービスは前月比0.9ポイント改善の24.0。10業界で最も高い値になった。サービスの中では、旅館.ホテルが同0.7ポイント改善の20.5。昨年12月以来、4カ月ぶりに20台に回復した。
小売は同1.3ポイント改善の23.7。サービスに次ぐ高水準となった。商品価格の低下傾向が消費を喚起するとともに、高速道路料金割引や定額給付金などの政策的な後押しも消費を刺激した。
製造は同1.2ポイント改善の18.7。中国の内需刺激や米経済の底打ち期待、在庫調整の進展などで、2カ月連続で改善した。
企業の規模別では、大企業は同1.3ポイント改善の22.4。中小企業は同0.9ポイント改善の19.8。小規模企業は同0.8ポイント改善の19.3。すべてが2カ月連続で改善した。
地域別では、前月と同水準の四国を除く9地域で改善した。南関東が同1.3ポイント改善の21.8。東海(17.6)は同0.5ポイント改善したが、前月に続き北陸(16.7)に次ぐ低水準になった。九州(22.9)は欧米ほどの落ち込みに至っていない中国などアジア向け需要に支えられたほか、外需減速の影響が東海などに比べて小さく、2カ月連続で全国トップとなった。
先行き見通しDIは、3カ月後が24.7、6カ月後が29.1、1年後が36.3で、それぞれ前月から1.9ポイント、2.4ポイント、2.5ポイント増加した。2カ月連続で3指標すべてが改善したが、「外需は弱く内需も先行き不透明であることから、国内景気は踊り場の局面が続くとみられる」(帝国データバンク)。