帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の昨年12月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比0.4ポイント増の35.7で、5カ月ぶりに改善した。同社では「国内景気は新政権への期待が高まるなか、悪化に歯止めがかかっている」としている。
DIを業界別にみると、「不動産」「製造」など7業界が改善、「サービス」が同水準、「建設」「小売」の2業界が悪化した。
サービスは前月と同水準の40.5。このうち旅館・ホテルは37.2で、同2.8ポイント悪化した。娯楽サービスは36.7で、同0.5ポイント改善した。
不動産は同1.3ポイント増の37.0。東日本大震災の被災地域で需給のひっ迫に直面。また消費税増税前の駆け込み需要も現れ始めており、5カ月ぶちに改善した。
製造は同0.5ポイント増の33.1。震災復興や消費税増税前の住宅への駆け込み需要などで「建材・家具、窯業・土石製品製造」が大きく改善、災害復旧関連の「鉄鋼・非鉄・鉱業」も改善するなど、9カ月ぶりに改善した。
建設は同0.3ポイント減の38.7。南関東、東海などの大都市圏は改善したが、復興需要による高水準が続いた東北は工事が停滞する積雪期に入ったこともあり、7カ月ぶりに悪化した。
地域別では、南関東、近畿など5地域が改善。東北、北陸など4地域が悪化。九州が前月と同水準だった。
南関東は同0.6ポイント増の37.1。震災の影響で遅れていた関東の工事が増えてきたことにより「建設」などが改善した。近畿は同0.5ポイント増の34.3。東海は同0.4ポイント増の34.6。南関東、近畿、東海の3大都市圏がそろって改善したのは昨年4月以来。東北は同0.7ポイント減の42.1。2カ月ぶりに悪化したが、全国10地域中、16カ月連続で1位となった。
県別では、宮城が同1.4ポイント減の50.4。2カ月ぶりに悪化したが、47都道府県中、17カ月連続のトップとなった。福島は同0.2ポイント増の45.0で、全国第3位。ただ、東北6県中、4県は悪化しており、「震災復興に伴う改善傾向にややかげりが現れている」。