全国旅館生活衛生同業組合連合会の女性経営者の会(JKK、稲熊真佐子会長=愛知県・豊田プレステージホテル)は8日、福岡市のセントラルホテルフクオカでオープンセミナーを行った。全旅連金融特別委員会の小原健史(全旅連前会長)、渡邉清一朗両氏が旅館経営に関する講演を行ったほか、JKK会員の長松由紀子氏(新潟県・和みのお宿滝乃湯)が自社の経営について事例発表を行った。
小原氏は「これからの女性経営者に望むもの」をテーマに講演。負担の軽減を求めて業界で陳情を行っているNHKの受信料問題や観光業界の問題などを解説し、「要求なしは成立なし」「陳情なしは成果なし」と、業界の中での団結を訴えた。JKKの組織については、JKKがすべての都道府県にひとり以上の会員を置くことを目標に据えている現状を踏まえて、「政治や行政を動かすには、47都道府県すべてに組織としての実態があることが前提となる」として、女性経営者の会への多くの参加を呼びかけた。
渡邉氏は「経営計画の必要性、立て方、活用法」をテーマに講演した。別府・杉乃井ホテルで経営にかかわった渡邉氏は、「困った時に特別に何かしようと思わないでほしい。普段からアンテナを張っていれば経営に役立つ情報は必ず入る」と、経営に関する情報を集める努力が必要だと説いた。参加者からは、金融機関に対する支払いサイトの延長などの対応方法や、固定資産税の値下げ交渉など、具体的な質問が飛び交った。
長松氏の事例発表では、「営業力が経営を支える最高の手段」として、「団体客をいかに増やすか」「高齢者にやさしいメニューをいかに作るか」「同窓会などの定期イベントをいかに誘致するか」などに取り組んでいる事例を報告した。
このほか全旅連青年部の永山久徳部長があいさつした。
JKKは、旅館の女性経営者が経営者としての資質向上や、女性ならではの悩みを解決する場として04年に創設。会員同士の勉強会やメールを活用した情報交換を行っている。今回開催した、会員以外の経営者も対象にしたオープンセミナーも定期的に開いている。
経営計画をテーマにした渡邉氏の講演