全旅連青年部は16日、自民党衆参議員に陳情を行った。マンションなどの空き部屋を宿泊施設に利用できるようにする規制緩和への反対と、旅館・ホテルの耐震工事への補助の拡充の2点。
全旅連の北原茂樹会長、全旅連青年部の桑田雅之部長の連名で要望書を提出した。
規制緩和については、まず「昨今、旅館業法の認可を受けずにマンションや空き家の転貸を反復継続して行う無許可宿泊営業が急増しており、取り締まりも行き届いていないことから設備や管理の不備による事故や近隣トラブルが頻発している」現状を指摘。
さらに「2020年の東京オリンピックを前に東京をはじめ大都市のホテルの供給不足が声高に叫ばれ、空き家の所有者やシェアリングエコノミー事業者を対象とする規制緩和の検討がなされていると聞き及びますが、調査によると想定される不足客室数4500室に対し既に1万室に及ぶ新規供給が予定されており、安全基準を満たしていない空き家を無条件で開放しなければならないという論拠にはなり得ない」と分析している。
その上で、「旅館業法が新規参入の一部の事業者には適用されず、既存事業者のみが対象とされ続けることになるのは著しく公平性を欠くものであると同時に、利用者の安全を一律に担保できず消費者の混乱を招く」と指摘。「規制緩和には断固反対し、(中略)新規参入事業者に対しても旅館業法(簡易宿所許可を含む)の遵守を強く求める」とした。
最後に「新規事業者に対して旅館業法の適用除外、もしくは安全性を著しく欠いた新基準が定められるのであれば、旅館業法は国民の安全のために必要ではないことになるので、その場合は旅館業法の全面廃止が成されるべきものと考える」としている。
一方、耐震に関しては、「改正耐震改修促進法による耐震改修工事を行う事業者に対して、その費用負担が極めて大きいことから、事業継続が可能となるよう、改修工事に対する補助率引き上げ措置の延長、自己負担部分に対する金融支援の充実など、国として特段のご援助を願いたい」とした。
小規模宿泊業のための規制緩和に関する要望書 >>PDFを見る