全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部(桑田雅之部長=長野県・菅平高原温泉ホテル)は15日、東京のTKPガーデンシティ永田町で臨時総会を開き、平成29年度から2年間の部長に西村総一郎副部長(兵庫県・西村屋本館)を選んだ。来年4月に予定される総会で正式に就任する。
西村氏は六つの「アクション」を盛り込んだ所信を表明。「観光業は成長産業。けん引するのはわれわれ旅館・ホテル業だ」「人口減少で厳しい時代が予想される今後、われわれの世代が社会の屋台骨を背負っていかねばならない」「この国の未来を背負うのだという自信と誇り、気概と覚悟を持って、皆さんと力を合わせて歩みを進めたい」と述べた。
「人材に関する取り組み」「国の観光政策立案への積極的な関与」「組織および国内ネットワークの強化」「インバウンドおよび海外ネットワークとの関係強化」「ITを活用したソリューション開発」「経営者として能力向上」の六つの「アクション」に取り組む。
「人材—」では人手不足に対応する外国人技能実習制度の導入を検討。
「国の観光政策—」では、民泊や耐震改修など業界を取り巻くさまざまな問題に対応するため、政治との関わりと強化する。
「IT—」では、生産性の向上につながるハードの導入やソフトの開発を研究する。
次期部長選出に当たり、7月22日から29日まで立候補を受け付けたところ、届け出たのは西村氏1人だった。現在の桑田部長に続いて、2期連続で無投票での次期部長選出となった。
国会議員、首長へ全県で働きかけを
民泊問題で桑田部長
全旅連青年部の桑田雅之部長は臨時総会であいさつし、来年1月からの通常国会に提出が見込まれる「民泊新法」に言及した。新法の内容を巡り意見が対立している不動産業界が議員への陳情活動を強力に推進していることに危機感を示し、「執行部だけでなく、全県(の旅館組合、青年部)で国会議員、地方自治体の長に働きかけねばならない」と述べた。
全国賃貸管理ビジネス協会、自民党ちんたい支部連合会、全国賃貸住宅経営者政治連盟などの不動産業界が9月14日、自民党の賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連、石破茂会長)議員に「民泊に関する要望書」を提出した。「(民泊の)営業日数の下限は年間180日とすること」「民泊サービスの事業者は『宅建業、旅館業、旅行業』の登録者とすること」「条例での制限を行わないこと」を要望している。
12月5日は東京(ザ・プリンスパークタワー東京)で同業界による「決起大会」も予定されている。
6月2日に閣議決定された規制改革実施計画では、新法での民泊営業は「年間半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数」とされ、旅館業界では年間30日以下を主張している。
桑田部長は「閣議決定されたにもかかわらず、(不動産業界は)年間180日以上を主張している。われわれがしっかりと意思表示をしなければ、この閣議決定もどうなるか分からない。(民泊に歯止めをかける)条例も各地で作ってもらうよう、全ての県で自治体の首長に働きかけてもらいたい」と述べた。
西村 総一郎氏(にしむら・そういちろう)
昭和49年8月7日生。株式会社西村屋(兵庫県豊岡市城崎温泉、屋号=西村屋本館、西村屋ホテル招月庭)代表取締役社長。平成9年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同年アサヒビール入社。同12年西村屋入社。全旅連青年部では同13年組織活性化委員会副委員長、現在は政策担当副部長。