内閣府はこのほど、景気ウォッチャー調査の10月分を公表した。同月の景気の現状判断DI(季節調整値)は前月比5.2ポイント増の54.5と、6カ月連続で上昇した。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てが上昇。12の地域別でも全てが上昇した。内閣府は景気ウォッチャーの見方について「『感染症の影響による厳しさは残るものの、着実に持ち直している』とまとめられる」としている。
DIは宿泊業、飲食業、商店など地域の景気を観察できる人々に3カ月前と比較した景気の現状や先行きについて「良い」「どちらともいえない」「悪い」など5段階で判断してもらい、結果を数値化したもの。
現状判断DIを項目別に見ると、家計動向関連のうち、サービス関連が4.0ポイント増の58.2。飲食関連が5.4ポイント増の60.4。小売関連が6.1ポイント増の53.7。住宅関連のみ4.2ポイント減(48.3)と低下した。
12の地域別では、全てが上昇。沖縄が9.2ポイント増の63.2と、最も大きく上昇した。
2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは0.8ポイント増の49.1。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てが上昇した。
12の地域別では、北陸、九州、東北など7地域で上昇。北海道、南関東など5地域で低下した。
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景気の判断理由で主な回答は次の通り。
「Go Toトラベルキャンペーンにおける地域共通クーポンの取り扱いが10月から始まったことが後押しとなり、客の動きが出てきた」(現状、やや良、北海道、旅行代理店)。
「Go Toキャンペーンなどの景気刺激策が過剰とも思えるぐらいあり、効果も例年を上回る動きとなっているが、個人客が中心である」(現状、やや良、東北、観光型旅館)。
「宿泊については、引き続きGo Toキャンペーンの影響もあり、前年の7~8割程度まで回復してきている。一方で、料飲部門は厳しい状況が続いている」(現状、やや良、北関東、都市型ホテル)。
「10月からGo Toキャンペーンの地域共通クーポンが発行され、東京発着も対象となり、個人客を中心に例年並みの集客ができている」(現状、良、北陸、観光型旅館)。
「Go Toトラベルキャンペーンの効果により、高級な宿泊施設に予約が集中し、単価が上がっている」(現状、良、近畿、観光型旅館)。
「Go Toトラベルキャンペーンの効果もあり、宿泊客は格段に増えている。しかし、このキャンペーン終了後の先行きが心配である」(現状、良、九州、観光旅館組合)。
「Go Toキャンペーンの追い風もあり、現在よりも良くなる。新型コロナウイルスの感染状況にもよるが、地域限定クーポン等も購買力につながっており、まだ良くなる状況が続くと判断する」(先行き、やや良、東海、観光型ホテル)。
「11~12月の予約状況は良く、今後もGo Toトラベルキャンペーン、Go Toイートキャンペーンの効果が見込めそうである。また、宴会や会議でも予約の問い合わせが増えており、感染対策を万全にして開催したいという予約が増えている」(先行き、やや良、近畿、都市型ホテル)。
「新型コロナウイルスの影響に売り上げが左右される状況であるが、Go Toキャンペーンが延長になるかもしれない。延長になれば忙しい状態が続くが、新型コロナウイルス禍が収束しないままGo Toキャンペーンが終了すれば、売り上げは激減するため、全く先が見えず危惧している」(先行き、不変、九州、観光型ホテル)。