内閣府はこのほど、景気ウォッチャー調査の9月分を公表した。同月の景気の現状判断DI(季節調整値)は前月比5.4ポイント増の49.3で、5カ月連続で上昇した。景気の先行き判断DIも同5.9ポイント増の48.3と上昇した。
DIは旅館・ホテル、飲食店、運輸業など、地域の景気の動きを観察できる人々を対象に、3カ月前と比較した景気の現状や、2~3カ月先の景気について「良い」「どちらともいえない」「悪い」など5段階で判断してもらい、結果を数値化したもの。
現状DIでは、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てのDIが上昇した。家計動向関連のうち、サービス関連は前月比8.7ポイント増の54.2。飲食関連は18.1ポイント増の55.0。小売関連は1.0ポイント増の47.6。
12の地域別も全てが上昇した。最も上昇幅が大きかったのは沖縄の18.1ポイント増(54.0)。
先行きDIも3部門、12地域全てが上昇した。地域別では沖縄が12.7ポイント増(56.9)と、現状DIとともに上昇幅が最も大きかった。
景気判断理由について、主な声は次の通り。
「若干ではあるが、ウェブ経由の個人客、観光目的の客について回復の兆しが見られている」(現状、やや良、北海道、観光型ホテル)。
「4連休の天候が良くて久しぶりに混み合い、学校団体も少し戻って一息つくことができたが、前年にはまだ及ばない」(現状、やや良、東北、遊園地)。
「一時的なものかもしれないが、Go Toトラベルキャンペーンの影響で、宿泊はシルバーウイークを中心に稼働や売り上げが戻ってきている。しかし、料飲部門については、宴会や多人数での会食などは全くと言えるほどない。ランチや朝食の売り上げだけでは、厳しい(現状、やや良、北関東、都市型ホテル)。
「8月ほどではないが宿泊稼働も、50%近くまで回復してきている。特に、9月の4連休はほぼ満室の状況が続き、久しぶりに忙しかった。3カ月前と比べると、Go Toトラベルキャンペーンの影響で販売量が大幅に伸びている」(現状、やや良、南関東、都市型ホテル)。
「Go Toトラベルキャンペーンの宣伝効果で高級旅館やホテルでおいしいものを食べたい、ワンランク上のホテルに泊まりたいという動きが見られる。人気の高級旅館は混み合っている。感染予防を促しながら、旅に出たい客層の予約の取り込みを急いでいる」(現状、やや良、東海、旅行代理店)。
「Go Toトラベルキャンペーンや県内小中学生の修学旅行などで前年比の70%まで客が戻ってきている」(現状、やや良、北陸、観光型旅館)。
「9月はGo Toトラベルキャンペーンの影響もあり、4連休のほか、週末はほぼ満室となっている。ただし、個人客は前年比でも増えているが、団体客が全く増えていないため、月全体の宿泊客は前年比で75%程度にとどまっている」(現状、不変、近畿、観光型ホテル)。
「少しずつ出張や旅行などは解禁となり動き始めているが、それでも前年比で3割程度の取り扱いである。まだまだ先は長い」(現状、不変、沖縄、旅行代理店)。
「新型コロナウイルスの感染状況が拡大していないことが前提であるが、首都圏のテーマパークで新エリアがオープンすること、10月からGo Toトラベルキャンペーンで東京が対象に加わることなどから、ほぼ道内需要しかない現状と比べれば景気はやや良くなる」(先行き、やや良、北海道、旅行代理店)。
「Go Toトラベルキャンペーン利用で連休は満室であったが、平日は例年よりまだまだ宿泊客は少ない状況である。コロナ禍で秋の団体旅行、忘年会は見込めず、今月より景気は悪くなる可能性もある」(先行き、不変、東北、観光型ホテル)。
「新型コロナウイルスの感染者数の動きにもよるが、今後はウィズコロナで徐々に来客数は戻るのではないか」(先行き、やや良、甲信越、観光名所)。
「消費喚起施策により一定程度は景気が維持されるが、インバウンドが復活しないと本格回復にはならない」(先行き、不変、四国、観光型旅館)。
「新型コロナウイルス対策が、幅広く浸透してきている。Go Toトラベルキャンペーンの東京参加解禁による効果が、大いに期待される」(先行き、やや良、九州、観光型ホテル)。
「現段階の予約状況から推測される今後2~3カ月後のホテル客室稼働率は、まだ前年実績に至らないものの、Go Toトラベルキャンペーンの効果が出てきており、予約が伸びてきている」(先行き、やや良、沖縄、観光型ホテル)。