江戸中期から明治期にかけて北海道と大阪などを日本海回りで結び、物流の大動脈を担った北前船のルートを巡る歴史ツアーが6月に実現する。小樽観光協会などで構成する現代版北前船プロジェクト実行委員会の主催で、関係者や一般市民など約50人が参加する。実行委員会では、今回のツアーを活動の第1弾として、「北前船のフロンティア精神を確認し、日本海地域間の人や物産など各種交流を盛り上げたい」と意欲を示している。
歴史ツアーは、先祖が近江の北前船船主にあたる京都出身のチェンバロ奏者、明楽(あけら)みゆきさんが、札幌に住み道内各地で演奏活動をするうちに先祖との縁を感じて発案した。
共鳴した小樽観光協会の真田俊一会長をはじめ札幌、小樽の関係者などが中心になって実行委員会を立ち上げ、秋田在住の北前船研究家、鐙(あぶみ)啓記さんの協力も得てツアーを企画した。実行委員会には、道や国、訪問先の京都などの関係機関も参加している。
ツアーは6月2日に小樽を出発し、4泊5日の日程で舞鶴や京都など5市を巡る。往路は新日本海フェリーの定期便を使い、船内で鐙さんの歴史講話や明楽さんの演奏などさまざまなイベントが行われ、食事もニシンを使った群来そばや魚介の特別メニューが提供される。3日夜、舞鶴に到着後、宮津、小浜などの回船業の旧家や北前船屋敷を回り、京都の寺社なども見学して6日に空路で戻る。
日本海の富と文化を運んだ北前船を再現しようという活動は以前からもあり、25年前の1986年には、江戸後期の豪商高田嘉兵衛の船を復元した北前船「辰悦丸」を淡路島から道南の江差町に回航。昨年8月には、青森市で復元された北前船「みちのく丸」の函館回航が行なわれた。また、2007年からは各地持ち回りによる北前船寄港地フォーラムも開催されている。