北海道経済産業局はこのほど、初めて実施した「北海道宿泊事業経営実態アンケート」調査の結果をまとめた。それによると、旅館・ホテルの約半数が赤字経営に陥っていることが分かった。景気低迷による客数の減少や価格競争による料金値下げなどが経営を圧迫しており、厳しい環境にあることが浮き彫りになっている。
アンケート用紙は昨年10月、418軒に郵送で配布し、記入してもらった。87軒が回答(回収率約21%)。内訳は旅館・リゾートホテル48軒、シティホテル19軒、ビジネスホテル15軒など。
旅館・リゾートホテルの平均客室稼働率は52%で、70%台に迫るシティホテルやビジネスホテルよりも低い。宿泊客は道内客(46.2%)と道外客(47.3%)がほぼ同程度に多く、外国人は6.3%とウエートは小さい。申し込み形態を見ると、旅行会社経由が49.8%ともっとも多く、自社(電話など)は29.9%、ネットエージェント経由は11.1%だった。
08年度の経営状況を聞いたところ、全体の44軒(50.6%)が赤字経営で、黒字は29軒(33.3%)に過ぎなかった。06年度と比べ、どんな点が変わっているかでは「客数の減少」が46%ともっとも多く、以下「料金値下げ」(18.4%減)、「コスト削減」(17.2%)、「コスト増大」(12.6%)が続く。
誘客拡大に向けた取り組みでは、「商品プランの開発」と「ITを活用した情報発信(ホームページの作成など)」が特に多く、7割の業者が挙げている。
今後の経営課題も聞いた。「客数の増加」(27.1%)を挙げる業者がもっとも多い。道によると、08年度の観光入込客数は4707万人で、前年度比251万人減となっており、「北海道の宿泊施設にとって、顧客の確保は喫急の課題」と同局では見ている。
重点的に増加させたい客層の申し込み形態は、「自社直予約(インターネット)」が48.7%に迫る勢い。これに、「ネットエージェント」(20.5%)、「自社直予約(電話など)」(16.7%)が続く。自社予約を考える業者は合わせて7割近くに上り、関心の強さを見せる、一方で「旅行会社経由」と答えたのはわずか12.8%に過ぎず、ネットエージェントはともかく、旅行会社に頼らない姿勢が垣間見える。