厚生労働省は旅館や飲食店を対象に、喫煙室などの設置費用の一部を助成する制度を創設、1日から運用を始めた。接客にあたる従業員の受動喫煙を防ぐのが狙いだが、「客商売上、たばこは喫煙室でお願いしますとは言えない」と二の足を踏む旅館経営者も少なくなく、制度がどこまで利用されるのか注目される。
「受動喫煙防止対策助成金制度」は労災の適用を受け、(1)従業員100人以下、または資本金5千万円以下の旅館(2)従業員50人以下、または資本金5千万円以下の料理店、飲食店の──中小企業事業主が対象。
たばこの煙が外に漏れないように喫煙室を設けたり、煙の量を一定の基準以下にする換気装置を室内に設置する際に必要な費用を助成する。助成額は費用の4分の1で、上限200万円としている。助成を受けるには、「助成金関係工事計画」を策定し、事業所のある都道府県労働局に提出する必要がある。
制度開始に伴い、相談支援業務や職場内環境測定支援業務も実施。
職場での受動喫煙防止対策については昨年12月の労働政策審議会で建議されていた。この中で、「顧客が喫煙できることをサービスに含めて提供している旅館や飲食店についても、喫煙室の設置など防止対策の取り組みを促進することが求められていた」(労働衛生課環境改善室)。
同省は「制度の案内」と題する資料を作成しており、ホームページで入手できる。