全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長=山形県・日本の宿古窯)はこのほど、旅館・ホテルの厨房と浴場を中心にした事故防止マニュアル「旅館・ホテル安心安全管理マニュアル」を作成した。近年社会問題にまで発展しているノロウイルスやO157、レジオネラ属菌などによる事故防止を目的に、全旅連厚生部会(野澤幸司部会長=新潟県・ホテル小柳)の07年度事業として実施した。マニュアルはイラストを多用して、経営者、従業員など誰もが簡単に理解できる内容にしているのが特徴だ。
オールカラー30ページで、「食品衛生管理」「ノロウイルス対策」「施設衛生管理」の3部構成。
「食品—」では食中毒に関する基礎知識、予防の要点、予防の具体的な方法、「ノロウイルス—」ではウイルスの特徴と感染ルート、予防対策、「施設—」では換気、客室・寝具、洗面所、便所、浴槽についての具体的な管理方法を述べている。
マニュアルで特に意識しているのがノロウイルスとレジオネラ属菌。「従来通りの管理では事故が起きる可能性が極めて大きい」として、最新の情報とデータを収集して効果的な対策方法を示した。
全旅連厚生部会では数回にわたる管理マニュアル作成委員会で内容を検討。厚生労働省と国立感染症研究所の担当者を招き、アドバイスを受けたほか、衛生管理へ先進的な取り組みを進めている新潟県旅館組合の協力も得た。
マニュアルは都道府県の旅館組合を通して約2万軒の全旅連組合員に配布。全旅連では追加注文も1軒10冊以上から受け付けている。料金は1冊あたり200円の送料負担のみ。全旅連では「広く従業員に配るなど、事故防止を徹底してほしい」と呼びかけている。
全旅連厚生部会では08年度事業として、マニュアルの内容の理解度を測る「旅館・ホテル安心安全検定試験(仮称)」の実施も検討している。
完成したマニュアル