兵庫県豊岡市の城崎温泉は、地域全体の宿泊予約データを収集、分析し、宿泊施設をはじめとする事業者の収益最大化、生産性向上を図る「豊岡観光DX基盤」を構築。2022年3月の稼働以降、成果を着実に上げている。
城崎温泉は兵庫県北部、日本海に面した国内屈指の名湯。開湯1300年の歴史を持ち、「城の崎にて」を執筆した志賀直哉をはじめ、多くの文人墨客に愛されてきた。趣が異なる七つの外湯を持ち、その外湯巡りが人気。温泉街の中心を流れる大谿川と、川沿いに並ぶ柳の木が独特の風情をかもし、着物姿でそぞろ歩きをしたり、記念写真を撮ったりする観光客の姿が目立つ。近年、外国人観光客も急増している。
1925年(大正14年)の北但大震災で壊滅的な被害を受けたが、以降約10年をかけて外湯や宿泊施設を再整備。現在の街並みが形成された。
国内外の観光客に人気の同温泉だが、大阪など大都市圏から交通の便が良いこともあり、平均宿泊日数や観光消費額が周辺の他の温泉地より少ないという課題を抱えていた。若手旅館経営者で組織する「城崎温泉旅館経営研究会」(通称・二世会)が議論し、重要なテーマとして地域の予約データの収集、活用による課題解決に取り組むことになった。
2019年に構想が上がり、21年に二世会と同温泉旅館組合、同温泉観光協会、豊岡市、地域のDMO(観光地域づくり法人)豊岡観光イノベーションによる準備会結成を経て22年、DXの取り組みを推進する組織「豊岡観光DX基盤推進協議会」が発足した。
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