国土交通省は、産業観光やヘルスツーリズムなどのニューツーリズム旅行商品の流通を促進するため、市場の整備を新規事業で支援する。今年度は、商品創出の実証事業と、地域と旅行会社の商談を促すデータベースの構築を行う。7月26日には、民間識者でつくるニューツーリズム創出・流通促進事業推進協議会を設置した。旅行会社の国内旅行担当者や地域で着地型プログラムを手がける関係者などが委員として参加。初会合では、商品化に向けた地域と旅行会社の連携、着地型ビジネスモデルの確立などの必要性が指摘された。
国交省は今年度、ニューツーリズム創出・流通促進事業として約1億円を予算化。花角英世・観光事業課長は「伸び悩みが続く国内旅行の現状には危機感を持っており、活性化のためには、ニューツーリズム旅行商品の流通市場の整備が必要だと考えている。今年度で終わることなく、数年間をかけて取り組みたい」と意欲を示した。
商品創出を支援する実証事業は、公募で選定したニューツーリズム旅行商品について、旅行者ニーズの分析や現地での二次交通運行などの経費を補助する。一方のデータベース構築事業は、インターネット上のデータベースに地域が開発した旅行商品を登録、旅行会社が検索できるようにし、パッケージ商品への組み込みなどを促す。今秋の試験運用の開始を目指している。
推進協議会では、これらの事業への提言を行いながら、ニューツーリズム旅行商品の流通促進のノウハウなどをガイドラインとしてまとめる。
初会合では委員から「ニューツーリズムのメニューは、すでに各地域にさまざまな取り組みがあるが、旅行商品として自立させ、安定させるには、地域の熱意と旅行会社の商品造成ノウハウをうまく結びつける必要がある」などの指摘があった。旅行会社の委員からは「ニューツーリズムでどう対価を得るかが課題」として、従来の発地型に対して着地型の新たなビジネスモデルを構築することが急務だとの意見が出た。
推進協議会の初会合の模様(7月26日)