国土交通省はこのほど、「景観まちづくり刷新モデル地区」として全国から10地区を指定した。政府初の景観の“面的な整備”に着目した公共予算、景観まちづくり刷新支援事業で3年間にわたって集中的に支援。景観資源を生かしたまちづくりの整備費用を国が補助し、観光地としての魅力向上など地域活性化につなげる。
モデル地区は、函館市(北海道)、弘前市(青森県)、水戸市(茨城県)、敦賀市(福井県)、高山市(岐阜県)、田辺市(和歌山県)、篠山市(兵庫県)、長門市(山口県)、高松市(香川県)、長崎市(長崎県)の各市内に指定されている。
地方公共団体、または地方公共団体を構成員に含む協議会が行う事業が支援対象で、補助率は2分の1以内。2017年度予算は25億円。
これまでの景観整備に対する国の支援は、単体の建築物や屋外広告物の外観修景など“点的な整備”が中心だったが、景観まちづくり刷新支援事業では、インフラ整備などを含めた“面的な整備”が可能になる。
支援対象は、(1)景観資源の保全・活用に関する事業(外観修景、歴史的建造物などの保存、城址公園の整備、ガードレール・路面などの美装化、街路樹の整備など)(2)景観まちづくりに必要なインフラの整備(散歩道、広場、駐車場、交通結節点、展望台の整備など)。
モデル地区では、観光スポットを巡る周遊ルート、河川や港などの水辺空間、夜景や遠景を楽しむスポットなど、地域の特徴的な景観資源を整備する事業を実施する。
事例を挙げると、函館市のモデル地区は、五稜郭地区、湯の川地区を含む約10・6平方キロメートルで街並みや広場を整備する。弘前市は、城址公園一帯の約8平方キロメートルが対象で禅林街の舗装の美装化、市民中央広場の整備などに取り組む。
敦賀市のモデル地区は、氣比神宮や人道の港の一帯約1・6平方キロメートル。神宮に向かう商店街の舗装の美装化や港の景観復元など観光スポットをつなぐ歩行区間の魅力を向上させる。高山市は、高山駅前や重要伝統的建造物群保存地区を含む3・4平方キロメートルが対象。建築物の外観修景や屋外広告物の集約化などを実施する。
長門市のモデル地区は、長門湯本温泉などの一帯0・2平方キロメートル。親水性の高い広場やかつての棚田の地形を生かした遊歩道の整備で観光客の回遊性を高める。長崎市は、中心部の14平方キロメートルが対象。市街地のライトアップの魅力の磨き上げや夜景を楽しむための遊歩道の整備に取り組む。