沿線の人口減少や新型コロナウイルスの流行などを受けて、バスやBRT(バス高速輸送システム)への転換を含めたローカル鉄道の存廃、地域公共交通の再構築にどのように向き合うか、関心が高まっている。国土交通省は、8月25日に発表した2023年度予算の概算要求に、危機的な経営状態にあるローカル鉄道について、沿線自治体と事業者の協働による地域交通の再構築への取り組みを支援する施策を盛り込んだ。予算額を明示しない「事項要求」として、具体的な内容は予算の編成過程で検討する。
国交省が設置した有識者会議「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」の今年7月の提言では、利用者数の減少など運行を取り巻く状況が厳しいローカル鉄道について、国も関与しながら、鉄道事業者と沿線自治体が「廃止ありき」や「存続ありき」の前提を置かずに利用者目線で議論していくことの重要性が指摘された。
また、政府の「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針2022、6月閣議決定)には、地域公共交通ネットワークの再構築について、法整備などを通じ、国が中心となって交通事業者と自治体が参画する新たな協議の場を設けることのほか、規制の見直しや従来とは異なる実効性ある支援策を実施する方針が示された。
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