国交省が「観光立国推進基本計画案」を公表、数値目標明確化、計画期間は5カ年に


 国土交通省は1日、観光立国推進基本計画案を公表した。計画期間は今年度からの5カ年。観光立国実現への主要目標には、2010年度までに、国内観光旅行の1人当たりの年間宿泊数を06年度推計の2.77泊に対し4泊に、国内の観光旅行消費額を05年度推計の24兆4千億円に対して30兆円とすることなどを盛り込んだ。旅館業に対する施策では、設備投資の資金確保など経営基盤の強化を図り、日本旅館の魅力を向上させることを明記した。交通政策審議会観光分科会に諮った上で、今月中の閣議決定を目指している。

 計画案は、「施策についての基本的な方針」「目標」「総合的・計画的に講ずべき施策」「施策を推進するために必要な事項」の4部で構成。

 目標は施策に応じ数値を含めて掲げているが、観光立国の実現に向けた関係者の取り組みを促進するため、代表的で分かりやすい5項目を「基本的な目標」として設定した。10年度までの目標数値には、国内観光旅行、観光旅行消費額のほか、訪日外客を従来の設定通り年間1千万人とし、将来的には日本人海外旅行者数と同程度にする。また、日本人の海外旅行者数は年間2千万人にする。国際会議の開催件数については、11年度までに5割以上増加させて252件以上とし、アジア最大の開催国を目指すことを盛り込んだ。

 講ずべき施策は、(1)国際競争力の高い魅力ある観光地の形成(2)観光産業の国際競争力の強化と観光の振興に寄与する人材の育成(3)国際観光の振興(4)観光旅行の促進のための環境の整備──の4テーマで示した。

 観光旅行を促進するための環境整備では、休暇の取得促進・分散化、公共施設などのバリアフリー化、ニューツーリズムの創出・流通の促進などの施策を挙げている。

 旅館・ホテルなど宿泊産業に対する施策も4テーマの中でそれぞれ示した。旅館業界の懸案である金融問題に関連する施策では、「我が国の伝統と文化を守り『おもてなしの心』で内外の旅行者を受け入れるという重要な役割を担っている旅館業について、新たな旅行者ニーズに対応した設備投資のための資金の確保など、その経営基盤の強化・確立を図り、日本旅館の魅力の向上を促進する」と明記した。

 宿泊産業のサービスや流通への施策では、実証実験などを通じて「泊食分離」といった新たなサービス提供を推進するとともに、宿泊に関する情報提供の充実や販売方法の改善などに取り組む。

 
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