地熱発電開発 大規模開発の影響懸念


温泉の温暖化対策研究会のセミナー

温泉協会 温泉の回復義務、補償確立を

環境省 地域共生型で推進 モニタリング装置普及へ

 地域共生型の地熱の利活用などをテーマに、温泉の温暖化対策研究会(会長・奥村明雄日本環境衛生センター会長)によるセミナーが16日、東京都内で開かれた。脱炭素社会の実現に向けて地熱開発加速化プランを進める環境省からは、開発に伴う温泉事業者や地域の不安を解消するため、科学的なデータを収集する温泉モニタリングの普及の重要性が指摘された。日本温泉協会からは、温泉資源の保護の観点から大規模開発、大深度掘削に慎重な姿勢を求める声が上がり、既存源泉に影響が出た場合について補償制度の確立などの課題が挙げられた。

 

◆地熱開発の加速化

 環境省温泉地保護利用推進室から温泉・地熱資源保護利用専門官の野玉悠葵氏が関係施策について説明した。環境省の地熱開発加速化プランでは、10年以上とされる地熱開発までのリードタイムを2年程度短縮し、2030年までに全国の地熱発電施設数を現在の約60施設から倍増させる目標が掲げられている。

 加速化プランの推進に向けて、国立・国定公園内の地熱開発の規定、温泉資源保護に関する地熱発電関係のガイドラインを見直し、開発に対する規制を実質的に緩和した。温泉資源、自然環境への影響を抑え、温泉事業者や地域住民の不安を解消するため、温泉モニタリングを普及し、科学的なデータを収集・分析することで、地域の関係者間の調整を進め、案件開発の加速化を目指している。

 温泉モニタリングは、モニタリング装置を温泉配管などに取り付け、流量、泉温、導電率などを継続的に計測し、外気温や降水量を含めたデータの処理によって温泉の状況、変動要因などを把握、解析する取り組み。環境省では、岩手県雫石町など10地域12カ所に温泉モニタリング装置を設置する試行事業を行い、さらに実証を本格化させ、22年度に最大10地域20カ所、23年度と24年度には各15カ所に設置する計画を立てている。

 

◆モニタリング装置

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