日本の伝統的な温泉文化を守り、次世代に引き継ごうと発足した「日本温泉文化を守る会」(佐藤好億名誉会長=福島県二岐温泉・大丸あすなろ荘、佐藤和志会長=秋田県乳頭温泉郷・鶴の湯)。山間部の温泉宿などでつくる「日本秘湯を守る会」をはじめ、傘下の3団体の会員の旅館経営者など約60人が集まり、定時総会が開催された。意見交換では、温泉宿の経営者から、全国各地で進められている地熱発電開発について、温泉資源への影響を不安視する声が挙がった。
日本温泉文化を守る会は2022年6月に一般社団法人として発足。親会としての位置づけで、日本秘湯を守る会(星雅彦会長=新潟県栃尾又温泉・自在館)、温泉の掛け流しにこだわる宿でつくる「日本源泉湯宿を守る会」(桑原清会長=新潟県清津峡湯元温泉・清津館)、文化財の館などを持つ宿が参加する「日本文化遺産を守る会」(小山田明会長=秋田県強首温泉・樅峰苑)の3団体を統括している。
定時総会は23年12月に静岡県熱海市の熱海大観荘で開かれた。日本温泉文化を守る会の佐藤会長は「秘湯の宿、源泉湯宿、文化財の宿には、日本の温泉文化が色濃く残っている。これがわれわれの持っている資産だ。変えてはならないものがあり、今の姿勢を崩さなければ、インバウンドなどを含めて、これから評価されるグループになる」とあいさつした。
意見交換では山間部の宿の経営者の間から、地熱発電開発に対する報告が相次いだ。政府は、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの一つとして地熱発電の開発を推進している。環境省の地熱開発加速化プランは、開発までのリードタイムを短縮し、30年までに地熱発電施設を現在の約60施設から倍増させる目標を掲げる。
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