外国人就労拡大、新たな在留資格創設へ 「特定技能」対象に宿泊業検討


 政府の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」が12日に開かれ、外国人就労の新たな在留資格「特定技能」の創設を盛り込んだ入管難民法の改正案の骨子が示された。従来の専門的、技術的な分野の人材にとどまらず、一定の要件を満たす人材の就労を可能にし、受け入れを拡大する。対象は人手不足が深刻な業種に限られるが、宿泊業は制度設計の初期から継続して検討の対象に含まれている。政府は法改正を経て、来年4月からの制度開始を目指す。

 入管難民法の改正法案は、近く召集される臨時国会に提出される。同時に、外国人の在留をはじめ出入国などの管理態勢を強化するため、「出入国在留管理庁」の設置を盛り込んだ法務省設置法の改正法案も提出される。

 新たな在留資格は、「特定技能1号」と「特定技能2号」。2号の業務要件は「熟練した技能」とされ、高度な専門性や技術が求められるが、1号の業務要件は「相当程度の知識または経験を要する技能」とされ、2号に比べて取得しやすく、人手不足を補う即戦力として幅広く受け入れが可能とみられる。

 特定技能1号は在留期間の上限を5年とし、家族の帯同は認められない。在留資格の取得に必要な技能の確認は、対象業種の所管の省庁が定める試験などで行う。日本語の能力水準も定める。また、技能実習法の技能実習2号の修了者は試験などを免除する。特定技能2号への移行には、指定する試験の合格などが必要となる。

 受け入れの対象業種は、政府の受け入れに関する全体的な基本方針のもと、法務省と、その業種を所管する省庁で業種別受け入れ方針を定めて決定される。

 「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」議長を務める菅義偉官房長官は12日の記者会見で、「現時点で省庁から法務省に対し、介護、農業、建設、造船、宿泊など十数業種について今回の法案に関する外国人の受け入れを希望する意向が示されている。これについて法務省と担当省庁が検討する」と述べ、4月の制度開始に向けて早期に業種を決定する考えを示した。他の業種についても随時受け入れを検討する。

 宿泊業界では、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟の4団体が9月27日付で「一般社団法人宿泊業技能試験センター」を共同で設立し、新たな在留資格の活用に必要となる技能試験の実施態勢の準備を進めている。

 
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