大分の「おんせん県」申請、特許庁が拒絶、知事も商標登録断念


 大分県が「おんせん県」の商標登録申請をしていた問題で、特許庁が県に、登録を認めないとする「拒絶理由通知書」(10日付)を送付したことが分かった。13日に通知書を受け取った県は、広瀬勝貞知事が22日、異議申し立ての意見書の提出を断念することを発表し、「おんせん県」の商標登録問題は「登録不可」で終結することになった。

 県には同庁からの10日付通知書が13日に届いた。「『多数の温泉を有する県』という意味合いに過ぎない」ことが拒絶の理由として示されている。

 県は民間が先に登録して自由に名称を使えなくなることを危惧し、登録申請に踏み切った。しかし、「温泉県」として観光振興を図ってきた群馬県が「使用に制限がかかる」として猛反発。さらに他県からも危惧の声が上がったことから、大分県は全ての都道府県に「使用を妨げない」との内容の文書を送付する事態になっていた。

 県観光・地域振興課の担当者は「(商標登録が認められた)『うどん県』は香川県が初めて言い出したので認められた。『おんせん(温泉)県』は他県も使っており、目新しくないと特許庁が判断したようだ。決定は残念」と落胆している。一方で、「今回登録が認められなかったため、民間が申請しても登録はされないだろう。この問題は長く引っ張りたくはない」と話し、事実上目的は達成されたと話している。

 おんせん県の商標登録申請に困惑したのが温泉地の「東の横綱」を自負する群馬県だった。当時、「温泉を正業にしているのは大分だけではないということ」(観光局)と述べ、大分の動きに神経を尖らせていた。

 同庁の決定について、安藤美喜夫観光局長は16日、「おんせん県の商標登録申請に関しては、昨年11月15日付で大分県から全国の都道府県宛てに文書が発送された。文書にはおんせん県という言葉について、各都道府県の使用を妨げる意図は一切ないと旨の記載があった。県としては重要な観光資源である温泉を引き続き積極的にPRし、誘客促進に努める」とのコメントを発表した。

 
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