「梅」を生かし誘客 もてなし、最後は「人」
うめひびき(大分県奥日田温泉)などを運営するおおやま夢工房の鷹野恵一社長は8月26日、東京の観光経済新聞社を訪問し、現場での取り組みや誘客促進のための方針などを説明した。
うめひびきの外観
日田の奥座敷に位置するうめひびきは、周りを響渓谷と梅に囲まれた景勝地に位置する旅館で、人気温泉旅館ホテル250選(観光経済新聞社主催)にも選出されている。「凛(りん)として 愛らしく」をコンセプトに据え、「梅づくし温泉」を自称する唯一無二のもてなしを提供している。
鷹野社長は現状の課題として「人不足」を挙げ、「どれだけ募集をかけても人が集まらない」と人材確保に関する苦労を吐露。夏の繁忙期には朝食提供や食器洗浄、ベッドメイクやチェックイン対応に至るまで鷹野社長が協力して行っていると明かした。
鷹野社長は館内外での各作業の効率化の重要性を認識した上で、「旅館は『対顧客』の意識がとても重要なので、最後にお客さまをもてなすのはやはり『人』。人手が足りない中でも、作業で効率化できる部分、人の手で厚くもてなす部分のそれぞれにしっかり濃淡を付けて業務に当たっていきたい」と述べた。
地域を生かし、新たな魅力造成に注力
同館に隣接している梅酒工場「梅酒蔵おおやま」では、大山産の梅を生かした梅酒やさまざまな梅製品を販売している。鷹野社長は「梅酒に漬けた梅をかき出して集め、袋に詰めた『梅酒梅』が予想以上に人気で、飛ぶように売れているのは非常にうれしい。現地でしか味わえない味覚なので、ぜひ多くの方に体験してほしい」と述べた。
同系列の道の駅「水辺の郷 おおやま」では8月にジェラート店を開業。傷が付いたもの、形が良くないものなど、出荷ラインから外れた農産物を農家から購入し、材料としてジェラートに生かすサステイナブルな取り組みの一環で、「ジェラートの価格は若干価高く設定したが、好評を頂戴している」と鷹野社長。今後もSDGsなどに立脚し、地元の資源や素材を生かした宿泊体験、サービス提供や独自の商品造成を推進していくとの考えを示した。
鷹野社長。手にしている「梅花爛漫(ばいからんまん)」は、鴬宿梅(おうしゅくばい)を使用した長期熟成梅酒と、ニッカウイスキーのオーク樽(たる)で仕込んだ樽仕込み高級梅酒「ゆめひびき」をブレンドした自慢の一品だ