山形県南西部にあり、中心部を最上川が流れ、北前船の航路の確保から現在の大阪・京都近郊の上方衆との海運交易が栄え発展してきた置賜地方の中核市の一つが長井市。現在同市で「タスパークホテル」を運営している鷲見孝社長と辻田耕一専務に、今夏までに実施した大型リニューアル工事の目的と今後の展望などを聞いた。
――ホテルの歴史は。
鷲見 36年前に電子関連企業が建設し、その後、長井商工会議所が買い取り、2022年4月には長井市、置賜地域地場産業振興センター、長井商工会議所の3者が株主となり合弁会社を設立した。各1千万円を出資し、資本金3千万で経営に当たっている。地域密着の新産業拠点として再出発した。
――相当大規模なリニュ―アル工事のようですが。
鷲見 国の「デジタル田園都市国家構想交付金」を市で申請してくれたことで、交付金15億円、市の起債2億円で計約17億円。改修工事は配管から電気、客室、宴会場にまで及ぶ。観光にとどまらず農林水産業の振興等、地方創生に資する取り組みや拠点施設の整備なども支援していきたい。
――フルオープン後の施設の概要は。
鷲見 一番の売りとなる9階の展望レストランをはじめ、当地区最大となるホテル機能を有し、全57室からなる。他にスポーツクラブ、温浴施設、コンベンションホールに宴会場、会議室、ベーカリーカフェ等がある。
――ホテルの利用率アップを図る企画は。
鷲見 「おいしく学ぶテーブルマナー教室」や「おとなの女子会」などを企画し、稼働率のアップにつなげている。観光面に目を転ずれば、山形鉄道フラワー長井線沿線に43キロにわたり咲き誇る桜の季節は、郷土愛が特に強くなる。全国から問い合わせが増えている「三淵渓谷」は、他では体験できない唯一無二の観光資源だ。「白つつじ公園」や「あやめ公園」なども含め、市全体に見どころがある。
――どんなホテルを目指すか。
鷲見 二十数年間在籍した三菱商事時代と海外勤務も含め、これまでのキャリアを生かし、公共施設としても機能する、シティホテルの格を有するホテルを目指す。
辻田 これまで都市型ホテルに勤務してきた。そのノウハウをもとに、街の元気を取り戻せるよう関係方面と協議し、未来の長井市をより明るいものにしていきたい。
タスパークホテル(山形県長井市)鷲見孝社長