河北新報社とヤフーはこのほど、東日本大震災で被災した宮城県石巻市と女川町、南三陸町の沿岸部で、11月3日に「ツール・ド・東北2013in宮城・南三陸」を開催すると発表した。「東日本大震災の復興支援と震災の記憶を未来に残していくのが目的」と主催者側。参加定員は1500人だが、同行者も含めると相当の人数になりそうで、被災地の観光振興にも寄与しそうだ。
イベントは復興を後押しするため、10年程度継続する方針。初年度となる今回は順位やタイムを競うレースではなく、楽しく走ることを目的とした「ファンライド形式」で開催する。
今後については、「道路などの復旧状況も踏まえながら、ファンライドだけでなく本格的なレース開催も視野に入れ、岩手や福島などへもステージを拡大し、東北(全体)でプロフェショナルレースを開催することを目標にイベントを育てていく」としている。
イベント当日は、全国から募集した一般サイクリストに加え、プロの招待選手や自転車愛好家の著名人が参加する予定。
コースはロング(約160キロ)、ミドル(約100キロ)、ショート(約60キロ)の三つ。いずれも沿岸部を走るコース取りで、三陸の雄大な自然を感じながら、被災地の現状を肌で感じられるようにする。
6月24日から公式サイトで参加申し込みの受け付けを開始。ロングは定員200人で参加費1万円、ミドルは900人・8千円、ショートは400人・6千円。
スタート・ゴール地点は石巻専修大。コース途中には水分や食べ物などを提供するエイドステーションを4、5カ所設ける。「各地の観光協会や商工会議所と連携し、地域の旬の食材を提供するなど、参加者にその土地の魅力を味わってもらったり、現地の人々と交流できるような場も提供する」という。
また、事業収益と寄付金の一部は基金として積み立て、自転車関連の社会インフラ整備に活用していく予定だ。
南三陸町のホテル観洋の女将、阿部憲子さんは「被災地を自転車で回るのはとてもいい考えだと思います。現状を知っていただく意味でありがたいイベントですね。震災で車が失われ、自転車はいまや貴重な“足となっています。当館でも自転車を貸し出していますが、震災前よりも需要が増えています。ぜひ成功させていただきたい」と期待する。