岸田文雄首相は、4月17日に開かれた観光立国推進閣僚会議で、観光の現状を踏まえ、重点的に取り組むべき施策として3点を関係省庁に指示した。
指示事項は、
(1)訪日外国人の地方誘客
(2)オーバーツーリズム対策
(3)観光にとどまらず、国際的なイベントやビジネスなどあらゆる機会を捉えたインバウンド需要の開拓
―に関する取り組みの強化。これらの施策を推進することで、2030年までに訪日外国人の旅行者数6千万人、消費額15兆円の達成を目指す。
インバウンドはコロナ禍から急速に回復し、24年3月の訪日外国人旅行者数は308万人となり、単月の最高値を記録した。訪日外国人旅行消費額も円安や物価高の影響もあるが、人数、宿泊日数の伸びなどで24年1~3月期に1.8兆円に達し、四半期で過去最高となった。
岸田首相は「このペースで進めば、2024年は、2025年目標を前倒しし、訪日客数、消費額共に過去最高を達成できる見通し」と述べた。観光立国推進基本計画では25年までに、訪日外国人旅行者数を19年の3188万人を超える水準にする目標を掲げている。また、23年の訪日外国人旅行消費額は5.3兆円と過去最高だった。
ただし、政府は、観光の現状について課題も認識している。23年の外国人延べ宿泊者数は約1.1億人泊で19年比99%とほぼコロナ前の水準を回復したが、三大都市圏の8都府県で全体の約7割を占め、都市部への偏りが目立つ。さらに一部の地域では、観光客の過度な混雑などオーバーツーリズムが懸念されている。
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