政府は6月14日、観光施策に関する今後1年の行動計画「観光ビジョン実現プログラム2019」を観光立国推進閣僚会議で決定した。2020年の訪日外国人旅行者数4千万人などの目標達成に向けて、訪日外国人の旅行環境の整備、地域での新たな観光コンテンツの開発、日本政府観光局(JNTO)と自治体、DMOとの連携強化などを推進する。
「観光ビジョン実現プログラム」は、政府が16年3月に策定した観光施策の中長期構想「明日の日本を支える観光ビジョン」などを踏まえて、毎年度策定されている行動計画。観光庁の田端浩長官は19日の専門紙向け会見で、「国際観光旅客税の税収も活用しながら政府一丸、官民一体で本プログラムを着実に実行していく」と述べた。
訪日外国人の旅行環境の整備では、観光地や交通機関に関して情報の多言語化や無料Wi―Fiの提供、キャッシュレス対応などを早急に進める。交通機関では、鉄道やバスなどを一体的に検索・予約・決済できるシステム「MaaS」や観光地までの2次交通の充実に取り組む。
旅館・ホテルに関しては、インバウンド対応やバリアフリー化を補助事業などで支援。生産性向上では、経営者のスキルアップや意識改革のためのワークショップを全国で実施し、マーケティングの強化による付加価値の向上を推進する。地域の宿泊施設の連携を通じた活性化策も後押しする。
地域での新たな観光コンテンツの開発では、国立公園や文化財の活用、国立博物館や美術館の夜間開館、城や寺に宿泊するプログラムの開発、民宿や古民家の整備による農泊の推進、スノーリゾートの活性化、旅館の再生などに関する施策を推進する。
夜間(ナイトタイム)の観光では、地方への誘客、地方での消費拡大を目指して、地域の伝統芸能などを生かした体験型コンテンツを拡充する。深夜交通の確保、飲食店などの夜間営業といった環境整備も促進する。
JNTOと自治体、DMOに関しては、役割分担と連携の強化を目指す。自治体、DMOの役割を受け入れ環境整備やコンテンツの開発などの「着地整備が主体」と明確化。JNTOは、海外ネットワークやデジタルマーケティング技術を生かし、地域の情報、魅力を発信するプロモーションを一元的に行うことを目指す。このためJNTOの抜本的な体制強化を進める。