政府、赤坂迎賓館で訪日旅行ビジネス交流会開催


広域観光の代表らも出席

 訪日外国人旅行者数は、1月からの累計が10月30日に2千万人を突破した。年間値で2千万人を初めて超えた。日本のインバウンドが新たな段階に入ったことを踏まえ、国土交通省、日本政府観光局(JNTO)は11月22日、東京都内で訪日旅行ビジネス交流会を開いた。国内外で訪日観光に携わる企業、団体の幹部約200人を招き、訪日外国人旅行者数の新たな目標4千万人の達成への政府の意気込みを示し、ビジネスの拡大を呼びかけた。

 交流会の会場は、迎賓館赤坂離宮本館(東京都港区)。国賓をもてなす特別な迎賓施設を一般の会合のレセプションに初めて開放した。ユニークべニュー(国際会議などに利用する特別感や地域特性を演出できる会場)の先進事例にすると同時に、日本政府が観光振興を重要視している姿勢を国内外に強調した。

 来賓として招かれたのは、海外の旅行会社や航空・クルーズ会社、メディアの幹部など約100人と、国内の観光企業・団体の幹部ら約100人。本館の四つの部屋を使い、ビジネス創出のための交流・情報交換会、日本の観光資源をPRする展示などを行った。

 セレモニーで石井啓一国交相は、訪日観光を支える関係者に感謝の気持ちを伝えるとともに、「今年の訪日外国人旅行者数は10月までで2011万人に達し、前年同期比23%増と引き続き堅調な伸びが続いている。この勢いを継続し、2020年4千万人という新たな目標達成へのビジネスにつなげてもらえれば幸いだ」とあいさつした。

 JNTOの松山良一理事長も「訪日外国人4千万人に向けて官民双方の分野でさまざまな対策をとり、日本を観光志向の国に変えていきたい。地方の隠れた観光資源をフルに活用することで、地域の活性化につなげ、そして日本の観光の競争力、品質の向上を目指していく」と意欲を語った。

 来賓では、日本観光振興協会の山口範雄会長が「観光産業はすそ野が広い産業だが、ここにきて経済効果の波及が伴ってきた。さらに効果を上げるには、地域間、業種間、民と官の連携を緊密にして観光需要を拡大していく必要がある」と述べ、4千万人の目標達成、観光立国の実現への努力を改めて誓った。

 政府は、訪日外国人旅行者数が15年に1974万人に達し、ほぼ2千万人となったことから、16年3月、観光施策の中長期の指針として「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる20年に4千万人を目指す新たな目標を設定した。ただ、目標の達成に向けては、アジア市場のリピーター獲得、欧米豪や富裕層などの市場開拓、地方部への誘客促進などの課題が山積している。

 迎賓館赤坂離宮で開かれた訪日旅行ビジネス交流会に際しては、出席者の一部が報道陣の取材に応じ、訪日外国人旅行者4千万人への課題について語った。

 外国からの視点としては、アメリカ商工会議所・観光産業委員会委員長の薄井シンシア氏が「日本の観光の可能性は大きい」と成長性の高さに言及した上で、「東京などから地方へと出掛けてもらうには、ポスターなどを製作するだけでなく、しっかりとしたストーリーをつくって観光客にPRすべきだ」と述べ、地方観光に関するマーケティングやマネジメントの重要性を指摘した。

 日本国内の受け入れ側では、九州の広域連携組織、九州観光推進機構の石原進会長(JR九州相談役)が「ブランドイメージが大事になる。九州7県それぞれに自然、文化、食などの魅力があるが、九州全体として『温泉』のイメージを定着させたい」と述べ、ブランディングを地方誘客拡大への鍵の一つに挙げた。

 北海道で広域観光周遊ルートの形成に取り組む「プライムロードひがし北・海・道」推進協議会の上野洋司会長(知床第一ホテル会長)は「北海道の空のゲートウェイが新千歳空港だけというのでは限界が出てくる。道内各地の空港の利用、路線の乗り入れを促進する必要がある」として、航空ネットワークの拡充を訴えた。

 東日本大震災からの復興に向け、政府が20年までに外国人延べ宿泊者数を現状の約3倍に増やす方針を掲げている東北からは、東北観光推進機構の紺野純一専務理事が「四季の魅力を中心としたテーマ別のプロモーションに取り組んでいく。東北全体が連携して受け入れ態勢を強化するとともに、東北の良さをいかに訴求できるかが重要になる」と語り、プロモーション、連携の強化を課題に挙げた。

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