東日本大震災の発生から2カ月近くが過ぎた。旅館・ホテルやネットエージェントなどによる復興支援策がさまざま打ち出されているが、旅行会社でも被災地や、観光客が大きく落ち込んでいる東北の観光地を盛り上げようという動きが出てきた。旅行会社の送客力や、旅館・ホテル、運輸機関とのネットワークを利用し、観光客の現地での消費活動やボランティア希望者の活動を後押しし、復興につなげたい考えだ。
JTBは4月22日、東日本大震災で被害を受けた東北を応援するツアーを発売した。新緑期の5月に青森、山形、北東北の3方面を訪れる1泊2日のツアー。名物料理の提供や産品のプレゼントも織り込んで、地元での消費活動につなげる。
山形ツアーでは、サクランボの食べ放題を楽しむほか、福島の会津若松の鶴ヶ城を見学。宿泊先では「東北復興祈願餅つき」を行う。山形米「つや姫」が土産として付く。
青森ツアーでは、昼食に津軽三味線を聞きながら青森郷土篭膳料理を、夕食には鰺ヶ沢で獲れる白魚(シラス)の特別メニューを賞味する。
北東北ツアーでは、青森の奥入瀬渓流を散策し、「秋田郷土御膳」「比内地鶏のきりたんぽ鍋」などの秋田の食も満喫。岩手の小岩井農場では新鮮な乳製品を購入できる。
ツアーは販売店とホームページで販売。旅行代金の3%を義援金として日本赤十字社に送る。
ボランティア活動を支援する企画を行うのはトップツアー。海外へのボランティア支援を毎年5千人行っている「地球の歩き方」(ダイヤモンドビック社)と共同で、東京発着2泊5日のボランティアパッケージを提供する。
被災地外からの復興ボランティアのニーズとボランティア参加のニーズ双方が高まっているものの、ボランティア活動者の現地での交通や食事、宿泊の確保が難しい現状を踏まえ、企画した。活動先は、岩手県大槌町、山田町、釜石市、大船渡市、陸前高田市のいずれか。「現地のボランティアセンターなどとの調整を事前に行い、被災地の負担軽減に努めている」とトップツアー。
岩手県花巻市の佳松園などに宿泊する。旅館・ホテルに宿泊することで、観光需要が大きく減少している被災地近隣の宿泊施設の支援も狙う。
出発日は5月13、20、27日。6月以降は状況次第で決める。代金は3万7千円。