日本政策金融公庫は3月31日、旅館など生活衛生関係営業の景気動向等調査の今年1〜3月期分の結果を公表した。それによると、同期のホテル・旅館業の売上、採算、業況の各DIはすべて前期から低下した。全業種計でも各DIすべてが低下した。「長引く消費マインドの低迷が経営に深刻な影響を及ぼしており、生活衛生関係営業の景況は、依然として厳しさが続いている」(同公庫)。
調査は2月上旬、ホテル・旅館業、飲食業、理容業など生活衛生関係営業3220企業に行った。このうちホテル・旅館業は208企業に行った。
売上DI(前年同期比で売上が増加した企業割合から減少した企業割合を引いた値)は全業種計で前期比0・4ポイント低下のマイナス54.9。前年同期比では2.1ポイント下回り、これで11期連続で前年同期を下回った。
業種別では、ホテル・旅館業が前期比8.6ポイント低下のマイナス52.4。2期連続で前期を下回った。
採算DI(当該期で黒字の企業割合から赤字の企業割合を引いた値)は全業種計で前期比2.8ポイント低下のマイナス27.0。前年同期比では0.4ポイント上回り、10期ぶりに前年同期を上回った。ただ、近年最低となった昨年1〜3月期に次ぐ低水準となっている。
業種別では、ホテル・旅館業が前期比14.4ポイント低下のマイナス37.0。4期ぶりに前期を下回った。
業況DI(前期比で好転したとする企業割合から悪化したとする企業割合を引いた値)は全業種計で前期比9.5ポイント低下のマイナス57.3。ただ、前年同期比では4.4ポイント上昇し、11期ぶりに前年同期の水準を上回った。
このうちホテル・旅館業は前期比14.0ポイント低下のマイナス55.3。2期連続で前期を下回った。
業況判断理由についてホテル・旅館から次のような声が挙がっている。
今期・好転=「観光協会や旅館組合による企画(花の開花宣言、花畑夜間ライトアップ、花づくしプランなど)がテレビ東京やNHKなどで報道されたこともあり、客数が増えた」(千葉県)。
今期・悪化=「不況によりビジネス客が減少している。また、連休等を利用した個人やグループ客の予約が入らない。競争が激しく宿泊料金等の低価格化が進んでいる」(宮崎県)。
来期見通し・好転=「来期から平城遷都1300年祭の事業も本格的に開催され、観光シーズンにも入るので期待している。4月以降の宿泊予約や問い合わせが多くなってきたので、来期は好転を見込む」(奈良県)。
来期見通し・不変=「アクアライン800円効果で日帰り客が増えている。それを取り込めるように昼食と入浴をセットにした企画を積極的に展開し、何とか現状維持を続けたい」(千葉県)。
来期見通し・悪化=「2月初旬までの宿泊客は確保しているが、その後の予約がなく、問い合わせもないので見通しが立たない。来期は悪化と予想せざるを得ない」(宮崎県)。