帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の11月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.6ポイント増の35.4と、6カ月連続で上昇した。新型コロナウイルスの感染再拡大で下旬に景況感が鈍化したが、緩やかな持ち直しを継続した。業種別では、旅館・ホテルが1.6ポイント増の28.8と、7カ月連続で上昇。「観光関連の業種を中心に持ち直しの動きが見られた」(同社)。
DIを10の業界別に見ると、9業界で上昇。金融の1業界のみ低下した。このうちサービスは1.7ポイント増の36.8と、7カ月連続で上昇。旅館・ホテルをはじめ、15業種中11業種で上昇、3業種で低下、1業種で横ばいだった。旅館・ホテルは「販売単価DI、設備稼働率DIが前年に近い水準まで持ち直した」(同社)。娯楽サービス(5.3ポイント増の29.0)は「ゴルフ場や遊技場の景況感が大きく回復した」。飲食店(2.8ポイント増の21.0)は「持ち直しつつあるものの、設備稼働率DIは依然として低く、景況感も厳しい水準での推移となった」。
農・林・水産は4.3ポイント増の38.7と、2カ月連続の上昇。「観光関連の各種施策の効果による地場産業の押し上げが寄与し、農業、漁業関連の景況感にも持ち直しの動きが見られる」。
10の地域別では、北海道を除く9地域で上昇した。九州が37.7と最も高いDI値を記録。北関東が3.4ポイント増と最も大きく上昇した。
北海道は1.6ポイント減の34.4と唯一低下。新型コロナウイルスの感染再拡大で、一部地域で経済活動を促す各種施策の一時停止や外出自粛要請があり、影響が表れた。
今後の景気について同社は「足元の感染再拡大への対応に伴う下振れリスクを抱えながらも、緩やかに上向いていくと見込まれる」としている。
企業からの景況感に関する主な声は次の通り。
「Go Toキャンペーンでやや上向きになっている」(現在、良い、日本料理店)。
「旅行業を営んでいるが、Go Toトラベルキャンペーンで個人顧客の旅行の申し込みが多くあった」(現在、良い、旅行業代理店)。
「Go Toトラベルや地元の経済振興支援補助金などで一時的ではあるが消費が増えている」(現在、良い、鮮魚小売)。
「Go Toトラベルで旅館や民宿への卸し納品量が倍増している」(現在、良い、水産食料品製造)。
「業界の仕事量は多い。飲食や観光関連もGo Toキャンペーンのおかげで潤っている」(現在、良い、建築工事)。
「Go Toキャンペーンにより旅行者数が増加、結果当社グループへの入場者が前年同月を上回る勢いになっている」(現在、良い、投資業)。
「Go Toキャンペーンの関係で観光業を中心に好転している」(現在、良い、釣・はえ縄漁業)。
「新型コロナウイルス第3波の影響が出てきており、観光を中心に夜の飲食店の人出が減少してきている」(現在、悪い、信用協同組合・同連合会)。
「Go Toキャンペーンで観光客が大勢来ている」(先行き、良い、養鶏)。
「新型コロナウイルス収束後もウイルスと共存する必要がある。また、Go Toキャンペーン終了後、その反動により旅行需要は低迷する」(先行き、悪い、旅館)。
「新型コロナウイルスの影響が長期化し、終息後もIT化で人の移動が減ると見込まれる」(先行き、悪い、国内旅行)。