食材や燃料費などの高騰が旅館経営に深刻な影響を及ぼしているが、リョケンが約90軒の旅館にアンケート調査したところ、7割前後の旅館が何らかの対策を行っていることが分かった。食材については「無駄を減らす(無駄なく使う)」「仕入れ先への値引きや値上げ据え置き交渉」、燃料では「使用量の節約」がもっとも多かった。原油価格は下落傾向を見せ始めたが、まだかなりの高水準にある。先行きは楽観できず、旅館のコスト削減の動きは当分続きそうだ。
リョケンの「食材・燃料費等の高騰に関する対策状況調査」は7月下旬から8月中旬にかけて実施、87軒が回答した。回答旅館の平均客室数は71.3室、基本宿泊単価は平均で1万5227円となっている。
調査結果によると、食材費高騰に対して「対策を行っている」と答えたのは67.8%に達した。32.2%は「行っていない」が、「今後何らかの対策を検討したい」「現在、対策実行に向けて準備中」を合わせると、9割近くに上る。
対策の中身を見ると、「無駄を減らす(無駄なく使う)」と「仕入れ先への値引き、値上げ据え置き交渉」がともに54.2%と並んだ。次いで、「安価な食材を活用し献立を変更」(30.5%)、「宿泊料金・食事料金の値上げ」(28.8%)と続く。宿泊料金や食事料金の値上げに踏み切った旅館の平均値上げ率は7.8%で、もっとも値上がり率の高い回答は15%。
一方、燃料費高騰では75.9%が「対策を行っている」と回答。具体的な対策では「使用量の節約」が62.1%に達し、2位の「仕入れ先への値上げ据え置き交渉」(27.3%)を大きく引き離している。 節約の仕方も様々で、「燃費の良い機器への入れ替えをした」「ボイラーにタイマーを設置」から「深夜の入浴制限」をした旅館もある。
今回の調査では「代替エネルギーへの変更」も18.2%あった。冷暖房機について見ると、重油から電気や温泉熱の利用へ切り替えた旅館も。リョケンは「設備機器の、油依存症からの脱却を中心に改革が進められているようだ」と分析する。
調査ではまた、水道光熱関連の使用量の節約対策も聞いた。節水・節電意識の徹底を図るため、バック部門では張り紙などによる周知徹底を行っている旅館が多くあり、「中には省エネプロジェクトチームや委員会を設置して推進しているところもある」とリョケン。
「省エネタイプの電球に交換」「クーラーはお客の到着に合わせ、タイマーを使用」「使用していない客室内の電源コンセントを抜く」──などあの手この手でコスト削減に努めていることが分かった。
リョケンでは「日ごろの小さな積み重ねと継続という地道な活動が重要なポイント」とアドバイスする。