帝国データバンクはこのほど、全国の企業対象の景気動向調査の10月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は、旅館・ホテルが前月比5.9ポイント減の41.3と、2カ月ぶりに悪化した。全産業計は同1.1ポイント減の43.9と、3カ月ぶりに悪化。「消費税率引き上げで消費関連業種が大きく悪化した上、台風など相次ぐ大雨による被害が幅広い業界にマイナスの影響を及ぼした」(同社)。
DIを10の業界別に見ると、農・林・水産、その他の2業界が改善、ほかの8業界が悪化した。
このうちサービスは同0.4ポイント減の50.6と、2カ月ぶりに悪化。サービス15業種のうち、旅館・ホテル、飲食店など10業種が悪化。改善は教育サービスなど5業種のみだった。旅館・ホテルは「予約のキャンセルが発生」、飲食店は「消費税率の引き上げを背景とした外食を控える動きや、台風に伴う休業や営業期間の短縮が売り上げの落ち込みにつながった」としている。
小売は同5.6ポイント減の37.0と、3カ月ぶりに悪化。悪化幅は消費税率の8%へのアップがあった2014年4月(10.7ポイント減)、東日本大震災があった11年3月(6.0ポイント減)に続き、調査開始以来3番目に大きかった。
10の地域別では、四国(同0.5ポイント増の44.4)のみ改善。ほかの9地域は悪化した。
南関東は同0.6ポイント減の45.5と、3カ月ぶりに悪化。東京23区や千葉市、さいたま市などの都市部を含め、小売のDIが大幅に悪化した。このほか東海(同1.6ポイント減の43.6)、近畿(同1.7ポイント減の42.2)など、大消費地を抱える都市部での悪化が目立った。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「ホテル建設と安定した観光産業が地域経済をけん引」(現在、良い、信用協同組合・同連合会)。
「自然災害で保険金支払いが急増している」(現在、悪い、損害保険)。
「台風の被害などにより予定していた業務が遅延」(現在、悪い、電気通信工事)。
「台風による災害でミネラルウォーターの需要が拡大している」(現在、良い、清涼飲料製造)。
「円高に伴い、訪日客による旅行需要が減退」(現在、悪い、一般貸切旅客自動車運送)。
「台風が大きく響いている」(現在、悪い、旅館)。
「東京五輪・パラリンピックの開催で、バス事業が増える」(先行き、良い、自動車<新車>小売)。
「自然災害や消費税率引き上げなどで、顧客心理が防衛的になっている」(先行き、悪い、各種食料品小売)。