厚生労働省は1日までに、2009年度の全国の旅館・ホテルの営業施設数と客室数をまとめた。それによると、今年3月末現在の旅館数は前年度比1879軒減の4万8967軒となり、ついに5万軒の大台を割った。客室数も同1万5790室減の79万1907室で、80万室割れ。対して、ホテルは9689軒、79万8070室で、それぞれ86軒、1万7565室の増加。施設数では5倍以上の差がある旅館とホテルだが、客室数では初めて逆転、ホテルが上回った。
旅館・ホテル、簡易宿所、下宿を含めた「旅館業」の営業施設数は、前年度比1457軒減の8万2954軒となっている。
ホテル、簡易宿所が増え、旅館と下宿は減っているが、特に旅館の減少が際立つ。
旅館数は1980年の8万3226軒をピークに減少。03年度に6万軒の大台を割った後も減少傾向に歯止めはかからない。1879という減少数は最近にない高い数字だ。景気回復の遅れや消費者ニーズの多様化などもあり、旅館を取り巻く環境の厳しさがうかがえる。
旅館軒数が増えた都道府県はない。減少幅が大きいのは静岡県で345軒も減った。次いで、長野県(117軒減)、新潟県(99軒減)の順。
旅館軒数そのものは静岡県がもっとも多く、ただ1県、3千軒台を維持している。これに北海道(2788軒)、長野県(2715軒)、新潟県(2354軒)が続く。客室数では北海道の5万3197室がもっとも多く、以下、静岡県(4万8645室)、長野県(4万2523室)の順。軒数がもっとも少ないのは香川県の349軒となっている。
ホテルで軒数が減ったのは15県あるが、目立つのは長野県(12軒減の523軒)ぐらいで、その他は小幅にとどまっている。沖縄県(20軒増の347軒)、広島県(10軒増の169軒)は2ケタ増に。
もっとも軒数が多いのは東京都(694軒)で、以下、北海道(668軒)、長野県、兵庫県(410軒)と続く。逆にもっとも少ないのは徳島県の34軒だった。