旅館2団体、6月合併を延期へ。認識の相違が表面化


 日本観光旅館連盟(佐久間進会長、4181会員)と国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1353会員)は、今年6月をめどに予定していた合併を延期する。合併後の新団体の名称や会費設定、存続法人など、合併を進める前提となっていた基本合意の確認事項にかかわる認識の相違が表面化、調整が必要になったためだ。6月総会でそれぞれに合併への承認を得る予定だったが、解散、定款変更などは議決しない。ただ、両団体ともに、合併を目指す方針に変わりはなく、期限や進め方は未定だが、今後も協議を継続していく姿勢を示している。

 両団体の合併は、日観連が昨年10月25日の理事会で、国観連が11月9日の理事会で基本合意に達した。対等な精神に基づく合併で、手続き上、国観連を存続法人に、日観連を解散する方式を予定していた。準備作業は、双方の正副会長会などでの検討内容を事務局間で調整する形を中心に進めてきたが、年明け以降、認識の相違点が浮上。問題の調整は難しく、3月に入り合併延期が避けられない情勢になっていた。

 日観連は3月15日に理事会を開催。合併延期や今後の協議についての方針を決めた。国観連に対しては同19日付で、合併の今後の進め方として、既存方針の一部変更を含めて検討するために双方の副会長クラスで構成する「合併推進協議会」の設置を申し入れた。会員に向けては同26日、合併の延期を文書で連絡した。

 国観連は、日観連の申し入れについて3月20日の常務理事会、今月20日の正副会長会で協議。協議会設置への回答を含めた今後の対応は、6月総会の当日に開く理事会で正式決定するが、合併の延期と、合併実現に向けた努力の継続を確認した。会員には、同23日の近畿支部総会で合併延期を報告、以降の支部総会でも説明する。

 合併延期を招いた相違点は、新団体の名称、会費、存続団体などの項目だ。基本合意の際に交わした確認事項では、名称は「『ホテル』は使用せずに、旅館団体であることを明確にする」、会費は「当面2年間は両団体の現行会費の額とし、その間に新たな会費を決定する」、存続法人は「国観連とする方向で検討する」と定めていた。

 国観連は、あくまで双方の理事会が承認した基本合意に基づく合併を意図してきた。

 一方、日観連は、日本旅館以外のビジネスホテル業態などの会員を多く抱える事情もあり、名称に「ホテル」を入れ、多様な業態を網羅したいと提案している。将来の会費負担増を懸念する小規模経営の会員に対する配慮や、「解散」への抵抗感も無視できないとみられ、合併2年後以降の会費や存続法人についても、合意事項の一部変更を含めて協議会での再検討を求めている。

 日観連の要望の背景には、解散、定款変更のいずれにしても、総会で会員の4分の3以上の議決を必要とするため、慎重な合意形成をせまられている事情があるようだ。国観連の定款にある3分の2以上と比べると高い率の賛成が求められる。

 観光経済新聞社の23日の取材に対し、日観連の佐久間会長は「合併を実現すべきだという当初の考えに変わりはない。ただ、もう少し時間をかけさせてほしい。『合併推進協議会』を設置して検討することも提案している。認識の食い違いについては双方で議論すれば、互いに歩み寄ることは可能だと考えている」と述べた。日観連は26日にも正副会長会を開く。

 23日、国観連の佐藤会長は「調整には時間がかかるかもしれないが、できるだけ早い時期に合併を実現するべく努力したい。強力な新生団体を作りたいという思いは変わらない。協議会設置の申し入れには6月の理事会を踏まえて正式に回答する」とコメントした。

 
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