日本観光旅館連盟と国際観光旅館連盟はこのほど、2011年度税制改正要望をまとめ、国土交通省をはじめ関係省庁に提出した。旅館・ホテルにかかわる固定資産税の軽減などを要望。固定資産税の軽減に関しては、毎年要望してきた事項だが、老舗旅館の相次ぐ倒産など旅館業を取り巻く経営環境がさらに厳しさを増していることから、固定資産評価基準の見直し、不均一課税の拡大などを強く訴えていきたい考えだ。
旅館・ホテル業は、土地、建物自体が商品となる装置産業。土地、建物にかかる固定資産税の負担が大きく、大規模の旅館・ホテルでは年額で数千万円に及ぶとされる。宿泊需要の低迷による経営悪化で負担感は増大。「軽減してもらえれば、旅行ニーズに対応した設備改善の資金をねん出できる」などの声が以前から出ている。
日観連は、旅館・ホテル業に対する固定資産評価基準の見直しを求めている。固定資産税の課税標準は、総務相が定めた評価基準に基づき、市町村長がその価格を決めるが、建物について「都市部と地方では収益率に大きな格差があるが、全国一律の評価基準になっている」「実勢価値が評価基準となっていない」と疑問視。土地と併せ、装置産業の特殊性に配慮した見直しを求めている。
国観連も、固定資産税にかかわる建物評価に軽減措置を、土地評価には税率の引き下げを要望している。「建物は原則、再調達価格を算出根拠としているため、何年経過しても評価額が下がることがない。経年した施設には軽減税率の適用を」と求めた。軽減を通じた旅館業の振興が、地域の経済活性化、雇用確保に効果が大きい点も強調した。
固定資産税では、両団体ともに国際観光ホテル整備法に基づく不均一課税の拡大として、登録旅館・ホテルへの軽減措置も要望している。特に国観連は、2分の1への軽減と、減税に伴う国から地方への交付金などによる支援策を求めた。
税制改正要望ではこのほか、日観連、国観連ともに、旅行者に対する国内旅行費用の所得税控除制度の創設、入湯税の使途の観光振興と温泉資源保護への限定(国観連は廃止までの期間として要望)などを盛り込んだ。